「今はすごく楽しんでいる。ここでキャリアを終えることも想像できているよ」 日本時間2月10日のトレード期限に、ブルックリン・ネッツからフェニックス・サンズへ電撃移籍したケビン・デュラントが、移籍後の記者会見でこう語った。昨夏にトレーニングを共にしたデビン・ブッカーや、オクラホマシティ・サンダー在籍時にチームのアシスタントコーチだったモンティ・ウィリアムズHC(ヘッドコーチ)もいることから、チームに馴染むのも早かったようだ。 怪我の影響もあり、サンズでここまで7試合の出場(日本時間4月6日時点)にとどまっているが、コートでは平均25.6点、FG成功率58.2%、3ポイント成功率51.6%と好パフォーマンスを披露。歴代最高峰の点取り屋と称される実力をいかんなく発揮しており、サンズを初の優勝へ導くことが期待されている。また、デュラントにとっても自身3度目の優勝は、ある評価を覆すチャンスでもある。
2007年にドラフト全体2位でシアトル・スーパーソニックス(現オクラホマシティ・サンダー)に指名され、キャリアをスタートさせたデュラントは、これまでに2回の優勝を経験。シーズンMVPを1回、ファイナルMVPを2回、得点王は4回と数々の個人タイトルも手にするなど、将来の殿堂入りが確実視されている。 選手としてこれ以上ない実績を誇るが、ゴールデンステイト・ウォリアーズで達成した2度の優勝については評論家の間で意見が割れている。NBAのご意見版として知られるシャキール・オニールとチャールズ・バークレーは「ステフ(ステフィン・カリー)におんぶに抱っこで優勝した。評価されたいなら、自らの力でチームを優勝に導くことだ」と発言し、デュラント自身がチームの柱となり優勝することで彼の評価は確固たるものになると説いている。
ただ、サンズを悲願の初優勝に導くことができれば、その風向きが変わり、“勝者”として認められる可能性は高い。バークリーも「(サンズで)彼にかかるプレッシャーは大きい。チームが勝つことが出来れば、私のような年寄りも彼に賛辞を送るだろう」と、彼なりのエールを送っている。
これまでの移籍の経緯もあり、未だに批判されることが少なくないデュラントだが、当の本人は「レガシーなんてどうでもいい。昔はみんなが憧れるような選手になりたいと思っていた。今はただバスケをすることに集中し、自分のベストを尽くしたいんだ」と語り、周囲の声を全く気にしていない。見据えるのは自身5年ぶりの優勝だろう。
デュラントに加え、生え抜きの得点源であるブッカー、司令塔のクリス・ポール、ビッグマンのディアンドレ・エイトンが先発に名を連ねる、サンズのタレント力はリーグ屈指だ。ここまでデュラント出場時は7戦無敗と圧倒的な強さを誇るが、果たしてサンズのラストピースとなれるのか。プレイオフでの活躍ぶりに注目だ。 ■【THE MATCHUP】フェニックス・サンズ対ロサンゼルス・レイカーズ 日時:日本時間4月8日(土)午前11時30分 会場:クリプト・ドットコム・アリーナ 解説:塚本清彦 / 実況:加藤暁 視聴可能プラン:LEAGUE PASS