ルカ・ドンチッチの勢いが止まらない。 日本時間12月22日(現地21日)から1月3日(同2日)にかけてダラス・マーベリックス(以下、マブズ)がマークした7連勝時には、平均41.7点、11リバウンド、9.9アシスト、2.3スティールと凄まじいパフォーマンスを披露。4連勝目のニューヨーク・ニックス戦では、リーグ史上初の“60-20-10”を達成(60点、21リバウンド、10アシスト)するなど、アンストッパブルな存在になっている。
「止めるのは不可能に等しい」(チャウンシー・ビラップス/ブレイザーズHC) 「彼は悪夢だ。抑える術はない」(ダービン・ハム/レイカーズHC) 「彼のせいでフィルムセッションが長くなる」(モンティ・ウィリアムズ/サンズHC) 敵将からこれ以上ないほどの称賛を受けるドンチッチ。ここまでチームトップの平均34.0点、8.8リバウンド、8.7アシストと八面六臂の活躍で、ウェスト4位のチームを牽引しているが、特出しているのはそのオフェンススキルの豊富さと洗練度だ。アイソレーション(8.7点/リーグ1位)、ピック&ロール(11.7点/同2位)、ポストアップ(4.4点/同4位)の平均得点すべてでトップ4入り。ボールハンドラーとして唯一無二の成績を残している。
ご存知の通り身体能力は平均的なドンチッチだが、そこは持ち前のバスケットボールIQとテクニックでカバー。アスリートであふれるNBAにおいて、ディフェンスの動きを読みつつ、緩急やフィジカルコンタクトを巧みに使ってズレを生み出し、相手を自らの世界へと引き込む様は、まさに“ルカ・マジック”と呼ばれる所以だろう。
1人でオフェンスを支配できるドンチッチだが、それはマブズにとっての課題でもある。ガベージタイムのスタッツを除外している『Cleaning The Glass』によれば、ドンチッチ出場時は不在時に比べ、チームのネットレーティングが+11.3も改善されるのだが、それは昨季までの最高値(+2.0)から6倍近く増加したものだ。この事実はドンチッチの実力が向上していることと、彼への負担が大きくなっていることを示している。 ドンチッチの魅力はスコアラーとしてではなく、パサーとしても非凡な才能を持つことだ。コートを俯瞰で見ているかの如く、相手にダブルチームを仕掛けられても簡単に攻略してしまう。今季は2桁アシスト以上を挙げた試合で11勝4敗と好成績を記録しているだけに、周囲の選手にはそのチャンスをしっかりと決め切ることが求められるだろう。
マブズは1月8日(同7日)にホームでニューオリンズ・ペリカンズと対戦するが、MVP候補にも挙がるドンチッチのパフォーマンスを勝利につなげることはできるか。 ■【THE MATCHUP】ニューオーリンズ・ペリカンズ対ダラス・マーベリックス 日時:日本時間1月8日(日)午前10時 会場:アメリカン・エアラインズ・センター 解説:塚本清彦 / 実況:波多江良一 視聴可能プラン:LEAGUE PASS