12月に入ってから10連敗を喫するなど苦戦していたワシントン・ウィザーズだったが、ここにきて3連勝と調子を上げている。その要因の一つは八村塁の復帰だ。復調するチームと八村の復帰時期が重なっているのは、決して偶然ではないだろう。 日本時間12月23日(現地22日)のユタ・ジャズ戦で、右足首の骨挫傷から16試合ぶりの復帰を果たした八村。29日(同28日)のフェニックス・サンズ戦ではキャリアハイに並ぶ30点を記録するなど、復帰後の4試合中2試合で20点以上をマークし、セカンドユニットの得点源としてチームを牽引している。
特にサンズ戦では、序盤から得意のミッドレンジや自らドライブを仕掛けて得点を狙う姿が目立った。この活躍に本人は「ブラッドが欠場したので、オフェンス面で僕が積極的にいき、得点しなければいけないのは分かっていました」と、欠場したエースのブラッドリー・ビールの穴を埋めるべく積極的に行った結果だとした。
カイル・クーズマが「彼は点取り屋だ。スコアラーのメンタリティを持っている」と語るなど、八村の得点力は同僚も認めるところ。スタッツで見ても、アイソレーションにおけるポゼッション毎の得点数が1.25と、カイリー・アービング(ブルックリン・ネッツ)やデマー・デローザン(シカゴ・ブルズ)とほぼ同等の期待値(アービングとデローザンは1.26)を記録している。 チームとしても八村のFG試投数が2桁以上の試合では8勝3敗と勝ち越しており、強みを活かせた試合では結果が出ている。問題はアイソレーションの機会がチームで5番目の0.8回と少ないという点だ。今後は八村の得点力を有効活用できるかが、ウィザーズの課題の一つと言えるだろう。
ウィザーズは、31日(同30日)に今季2度目の4連勝を懸け、敵地でオーランド・マジックと対戦する。再建途中のマジックだが、魅力的な選手を多く抱えており、その中でも今年のドラフトで1位指名を受けたパオロ・バンケロには注目だ。 直近2試合はファウルトラブルもあり、平均9.5点、FG成功率27.8%と苦しんでいるが、ここまでルーキートップの平均20.9点、6.7リバウンド、3.9アシストを記録している。サイズ(身長208cm)と器用さを兼備するビッグマンは、大学時代から評判だった豊富な得点パターンを駆使し、新人ではシャキール・オニール(元マジックほか)以来の7試合連続20点超えを達成した。
また、プレイメイカーとしても優秀で、20歳とは思えぬ高い完成度を誇る。ここまで期待以上の活躍を披露するバンケロだが、「まだ色々と覚えることが多い。今はただチームの勝ちに貢献したい」と語るなど、その貪欲な姿勢も好印象だ。 ウィザーズが勝利するには、新人王の最有力候補であるバンケロに攻守でプレッシャーを与える必要がある。それだけに、ポジション的にマッチアップする可能性のある八村の奮起に期待したい。 ■【THE MATCHUP】ワシントン・ウィザーズ対オーランド・マジック 日時:日本時間12月31日(土)午前9時 会場:アムウェイ・センター 解説:塚本清彦 / 実況:波多江良一 視聴可能プラン:LEAGUE PASS、BASIC PASS