NBAは日本時間10月19日(現地18日)に、2022-23シーズンが開幕する。NBA Rakutenではシーズンを前に、各チームの戦力状況や見どころを1チームずつ紹介していく。
NBA記録の22年連続プレイオフ進出が途切れ、3年連続でポストシーズン出場を逃しているサンアントニオ・スパーズはオフに、昨季リーグ20位の平均21.1得点、同27位の8.3リバウンド、4位の9.2アシスト、同1位の2.0スティールを挙げてオールスターにも出場したデジャンテ・マレーをトレードで放出。契約残り1年となった段階で、2023年ドラフト1巡目指名権(←シャーロット・ホーネッツ)、25年ドラフト1巡目指名権、26年ドラフト1巡目指名交換権、27年ドラフト1巡目指名権、という見返りが得られるうちに舵を切る決断を下した。 代わりにチームの顔として期待されるのが、4年目を迎えるケルドン・ジョンソンだ。昨季は75試合に出場して自己ベストの平均17.0得点、3ポイント成功率39.8%をマークし、今年7月には4年総額8000万ドル(約119億円)で契約延長を結んだ。オフェンス負担を表すユーセージ%(USG%)は21.3%とキャリア最高ながら、他チームのエースなどに比べると控えめな数値。どこまで力強く攻撃を牽引できるか、シーズンの鍵を握る。
USG%が26.8%で、ボールを持つ時間が長かったマレーがチームを去ったことで、3年目の22歳トレイ・ジョーンズが先発ポイントガード役を託される可能性が高い。昨季は69試合中58試合がベンチスタートだが、スタメン出場した11試合では平均32.6分間プレイして13.5得点、4.6リバウンド、7.5アシスト、1.1ターンオーバーの成績を残しており、シーズンを通してそのパフォーマンスを保てるか。 ジョーンズの課題はアウトサイドシュートだ。昨季は3ポイント成功率がわずか19.6%、キャリアを通じても23.3%(56本中13本成功)でしかない。K・ジョンソンやデビン・バッセルら周囲を生かす意味でも、プレイの引き出しを増やしておきたいところだ。
2022-23シーズンは「サンアントニオ・スパーズ」となって50周年の節目となる。ただ、完全に再建モードとなり、強豪ひしめくウェスタン・カンファレンスでプレイオフ進出は厳しいと言わざるを得ない。NBA最多勝(1344勝)を誇るグレッグ・ポポビッチHC(ヘッドコーチ)は来年1月に74歳を迎え、近い将来のHC業引退の可能性もゼロではないなかで、どのような采配を振るうか。 ティム・ダンカン、トニー・パーカー、マヌ・ジノビリのビッグ3を擁し、在任期間でリーグ優勝5回と勝利の味を知り尽くす名将だが、再建のフェーズでも近年は若手にゲームの奥深さを教えることに楽しみを見出しているようだ。2023年のドラフトがビクター・ウェンバンヤマを筆頭にタレントが豊富なだけに、今季はチームとしては戦績にあまり拘らないことが予想される。そのなかでも、今年のドラフト全体9位で指名した万能性の高いジェレミー・ソーハン、同20位で指名したスコアラーのマラカイ・ブランナム、同25位のブレイク・ウェスリーのルーキーを含め、シーズンを戦いながら成長を促せれば今後につながるだろう。
■2021-22シーズン チームスタッツ 平均得点:113.2(8位) 平均失点:113.0(23位) 得失点差:+0.2(17位) 平均リバウンド:45.3(9位) 平均アシスト:27.9(2位) 平均スティール:7.6(11位) 平均ブロック:4.9(10位) FG成功率:46.7%(14位) 3ポイント成功率:35.2%(18位) FT成功率:75.4%(25位) オフェンシブ・レーティング:111.9(17位) ディフェンシブ・レーティング:111.7(16位) ※カッコ内はリーグ順位