今シーズンからデンバー・ナゲッツの運営スタッフになっているWNBA選手のスー・バードだが、彼女はあくまでも現役選手としてプレーし続けることを最優先に考えているようだ。 彼女は、『WNBAシアトル・ストームのポイントガード』という肩書きを捨てる気は無いのだ。 バードがナゲッツのスカウティングを手助けするようになって1ヶ月になる。38歳のバードは、チーム運営に最も近い場所でNBAに関する様々な仕組みを学んでいる。 今年9月、WNBAデビューから16年目のシーズンを優勝で飾ったバードは、まだ選手としてプレーする情熱を失っていないようだ。 彼女は、現地12月15日のナゲッツ対トロント・ラプターズ戦の試合前インタビューで以下のように話している。 「私はバスケットボール選手です。私はまだ自分の選手としてのキャリアを第一に考えています。私は可能な限り現役を続行しようと考えています。たとえ明日引退するとしても、20年後に引退するとしても、私は常に全力を尽くしたいと思っています。でも、バスケットボールをいつまでも続けられるとも思っていません。ある時点に来たら、次の道を見つけないといけない。それもまた素晴らしいことです。今ナゲッツでやっていることを通して、私の今後の道が見つけられることを望んでいます。今後が楽しみです。」 ナゲッツのティム・コネリー球団社長が「引退後は、どうしたいんだ?」と聞いたことが、バードがナゲッツの運営スタッフに入るきっかけだったそうだ。 バードは、「チームと行動を共にするフロント・オフィスの仕事をするのは、現役を引退してからでないと不可能だと思っていました。でも、彼がその機会を与えてくれました」と感謝の言葉を述べている。 だが、彼女は想像以上に多くのことを学ばなければならなくなった。ストームで3度の優勝を経験しているバードも、NBAで学ぶことの多さに驚いたようだ。 「NBAには多くの選手がいて、チームも沢山あります。そして、学ばなければならない長い歴史もあります。1つ学んだのは、安全に守られた場所を離れることで、今の自分がどのように築き上げられたかを思い知らされるということです。」 ナゲッツのマイケル・マローンHCはバードについて「彼女は重要な戦力だ。スーが持っている知識や経験は、どのチームに行っても重宝されるはずだ」とコメントしている。 ニューヨーク出身のバードは、コネチカット大を2度のNCAAチャンピオンに導いた後に2002年のWNBAドラフト1位でストームに入団し、リーグで最も華やかな選手の1人となった。 そして今、彼女はNBAでキャリアを積む女性の仲間入りを果たしている。クリスティー・トリバーはワシントン・ウィザーズのアシスタント・コーチに加わり、チャスティー・メルビンはシャーロット・ホーネッツ傘下のGリーグチームのアシスタント・コーチをしている。他にも、サンアントニオ・スパーズのアシスタント・コーチをしているベッキー・ハモン、サクラメント・キングスの元アシスタント・コーチのナンシー・リーバーマン、ダラス・マーベリックスのアシスタント・コーチのジェニー・バウチェック、ロサンゼルス・クリッパーズ傘下のGリーグチームのアシスタント・コーチをしているナタリー・ナカセ、メンフィス・グリズリーズでアナリストをしているニッキ・グロスらが道を切り開いてきた。 バードは、「彼女たちの仲間入りすることができて光栄に思っています。私は、リサ・レスリーやシェリル・スウープス、レベッカ・ロボ、ドーン・ステイリーらを見て生きてきたので、自分がNBAのスタッフになる姿を想像するのは難しいです。20年後には、きっとその姿を受け入れているでしょう」と語っている。