渡邊雄太も驚嘆。「未来のMVP」ジャ・モラント【杉浦大介コラム vol.13】

平均得点とアシストはルーキー中トップ

2月14日(日本時間15日)、今年はシカゴで開催されたオールスター・ウィークエンドの先陣を切る形でライジングスターズ・チャレンジが行なわれた。未来のスーパースター候補が顔を揃えたイベントに、最多タイの3人を送り込んだグリズリーズ勢は一際目立った。 昨年のドラフト1巡目2位指名選手のジャ・モラント、同21位視名のブランドン・クラーク、一昨年の同4位指名選手のジャレン・ジャクソンJr.。この魅力的なトリオは、ユナイテッド・センターでの“ショウケース・イベント”でも揃って2桁得点を挙げて実力をアピールした。彼らの行方に、グリズリーズの明るい未来を見たファンは少なくなかったはずだ。 「ライジングスターズはこれからビッグタイム・プレイヤーになるのを目指す選手たちのゲーム。NBAでベストの若手選手たちと一緒にやれたのは特別なことだ」 ゲーム後の会見でモラントはそう述べていたが、他ならぬモラントこそがまさに“ビッグタイム”な選手に成長しそうな可能性を感じさせている。 前半戦でのモラントは平均得点(17.6)、アシスト(7.1)ともにルーキーの中でトップ。安定した活躍はケンドリック・ナン(マイアミ・ヒート)、クラーク、八村塁(ワシントン・ウィザーズ)といった他のルーキーを上回っており、新人王の最有力候補だろう。故障で出遅れたザイオン・ウィリアムソン(ペリカンズ)が猛然と追い上げてはいるものの、シーズンを通して働いてきたモラントがこのままベストの評価を保つ可能性は高い。

数字だけでなく、勝利という結果も残す

「彼(モラント)は凄い選手になっていくと思いますよ」 メンフィスでのホーム開幕戦の際、グリズリーズと2ウェイ契約を結ぶ渡邊雄太がそう述べていたことはまだ記憶に新しい。トレーニングキャンプ、プレシーズンを通じ、渡邊は新たにチームメイトになったモラントの力量に驚嘆したという。 「身体はそんなに大きくなくて細いんですけど、爆発力、ジャンプの速さは凄いです。空中でバランスを崩さないで、ぶつかりながらも簡単にシュート決めてくる身体能力も凄いなと思います。あとは、選択肢を最後までいくつも持っていること。“そこからでもまだパス出せるんだ”とか、“そこからシュートにいけるんだ”とか、感心することが多々あります。ディフェンダーからしたら守りにくいと思いますし、そこに身体能力が加わっているんで、ルーキーの中でもちょっと頭抜けているんじゃないかなと思います」 聡明な渡邊の見方は正しく、ドラフト前の時点で将来を嘱望されていたスーパールーキーは、1年目からその実力を存分に発揮している。何より心強いのは、モラントは自身が優れた数字を残すだけでなく、チームを勝ちに導けると証明してきたことだ。 今季開幕前、ほとんどノーマークだったグリズリーズは前半戦終了時点で28勝26敗と予想以上の好成績を残している。ハイレベルなウェスタン・カンファレンスで、プレイオフ圏内の8位をキープ。今季最大級のサプライズチームになった躍進の原動力が、弱冠20歳の核弾頭であることは疑いもない。

元オールスター選手のトレイシー・マッグレディも、モラントの将来性を絶賛

「未来のMVP」とT-MACも絶賛

シーズン半ばごろから、モラントは全米のメディアに取り上げられる機会が急激に増えていった。新エースの若々しい魅力のおかげで、これまで影の薄かったグリズリーズは注目チームに躍進した感すらある。 「(今の活躍には)驚いてないです。開幕前に彼の凄さを十分に見せてもらっていたので、あれぐらいはできて当然。彼なら絶対にやるだろうなと思ってましたよ」 モラントは周囲をワクワクさせる選手なのだろう。先述の通り、渡邊がまるで自分のことのようにモラントの活躍を嬉しそうに話していた姿が象徴している。もちろん今後アップダウンはあるだろうが、重要なPGのポジションにスーパースター候補が手に入ったことの意味は、グリズリーズにとっても大きい。 20歳のモラント、ジャレン・ジャクソンJr.、21歳のディアンソニー・メルトン、23歳のディロン・ブルックス、クラークといったヤングタレントが、メンフィスの地で続々と台頭中。伸び盛りの生きの良さは、2010年代前半、ケビン・デュラント、ラッセル・ウェストブルック、ジェームズ・ハーデンという“後のMVPトリオ”を擁して急上昇し始めた頃のオクラホマシティ・サンダーを彷彿とさせる。中でも鍵を握るのは、やはりモラントだ。レジェンドのトレイシー・マッグレディ(元ヒューストン・ロケッツほか)に「未来のMVP」と称されたPGは、このまま順調に伸びていくのか。 恐れを知らない若者は、“夢の球宴”の常連となり、来年も、再来年も、何度も華やかな舞台に戻ってきそうな予感を、すでに色濃く感じさせている。

杉浦大介:ニューヨーク在住のフリーライター。NBA、MLB、ボクシングなどアメリカのスポーツの取材・執筆を行なっている。『DUNK SHOOT』、『SLUGGER』など各種専門誌や『NBA JAPAN』、『日本経済新聞・電子版』といったウェブメディアなどに寄稿している。

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