ヒューストン・ロケッツのジェームズ・ハーデンは、言わずと知れたNBA随一のスコアリングマシンだ。対戦相手がいくら対策を講じても、彼は次々と得点を重ねる。なぜ止められないかは、もはやNBAの“七不思議”のようになっている。 2009年ドラフト1巡目3位でオクラホマシティ・サンダーに加入したハーデンは、ケビン・デュラント(現ブルックリン・ネッツ)、ラッセル・ウエストブルック(現ロケッツ)とともにビッグ3を形成したが、当時はスーパーサブ起用。自身がエースになれる環境を求め、2012年にロケッツに辿り着いた。 すると、1年目から平均25.9得点を挙げてオールスター出場。以降、昨季まで7年連続で平均25得点以上をクリアし、その期間はNBAで誰よりも多く得点を重ねてきた。次点のレブロン・ジェームズ(ロサンゼルス・レイカーズ)を2500得点以上も突き放していることからも、その偉大さが分かるだろう。 巧みに相手のファウルを誘発するテクニック、独特のリズムでディフェンスの隙間を縫うユーロステップ、そして近年はクロスオーバーからステップバックして3ポイントシュートと“必殺技”を武器に面白いように得点を重ね、史上7人目の3年連続得点王が懸かる。 過去3年、ハーデンほど多くボールを手にした選手はいないという。言わば、ハーデンが攻めてくるのは火を見るよりも明らかだが、それでも彼を止めることはできない。相手に与える脅威は、デンバー・ナゲッツのマイク・マローンHC(ヘッドコーチ)が「ハーデンの映像を見るのは、ホラー映画を見るようなものだ」と表現するほどだ。 今季の平均38.4得点は、あの偉大なウィルト・チェンバレンの平均50.4得点(1961-62)、44.8得点(1962-63)に次ぐ歴代3位に相当するハイペース。“バスケットボールの神様”と呼ばれるマイケル・ジョーダン超え(自己最高は平均37.1得点)となれば、ハーデンに新たな伝説が加わることになりそうだ。