【徹底討論 あなたはどっち派?】Round 1:ハーデン&ウェストブルックはうまくいく?

Basketball DinerでMCを務めるダブドリ編集長の大柴壮平氏とNBAライターの大西玲央氏が、毎週ひとつのテーマについて徹底討論する新企画。今週は、ヒューストン・ロケッツの新コンビ、ジェームズ・ハーデンとラッセル・ウェストブルックが機能するかについて、意見をぶつけ合った

10歳の頃から友人である2人はケミストリーを構築しやすい(大柴)

【賛成派 大柴】 まず、僕の立論の大前提を話します。ゴールデンステイト・ウォリアーズからKD(ケビン・デュラント)がいなくなって、今シーズンは絶対王者がいません。じゃあ残りのチームでどこが強いのかという話なんですが、健康なKDがいたウォリアーズを一番追い詰めたのはヒューストン・ロケッツです。クリス・ポールが怪我しなければ勝てたかも知れない。ということは、ジェームズ・ハーデンとクリス・ポールのペアと比べてハーデンとラッセル・ウェストブルックのペアが互角かそれ以上ならロケッツは優勝できるということになります。僕の立論はそういう前提に立っています。 ポールがいて良かったのは、ハーデンがいない時間帯もポールがゲームをコントロールできたこと。そして、2人が一緒に出ている時間帯は、両方にダブルチームするのは不可能なので、お互いの負担が減ったこと。その二つって、実はウェストブルックにもできることなんですよね。ウェストブルックの場合は、単独でチームを引っ張るのは非常に得意なので、ハーデンがいない時間帯にウェストブルックのチームを作るのは簡単です。ハーデンとウェストブルックが同時に出た時の「両方にダブルチームはできない」「お互いの負担が減る」という効果についてもクリス・ポールと遜色ないと思っています。むしろ、シングルカバーでウェストブルックを止めなければならないと考えた場合、ポールを止めるより難しいかも知れない。そういう意味で互角かそれ以上と言えると思います。 さらに、年齢もあって故障がちなポールより、ウェストブルックは若くて頑丈。ハーデンと喧嘩していたと噂されているポールと比べて、ウェストブルックは10歳の頃からのハーデンの友達なので、ケミストリーも構築しやすいはずです。ここで大前提に戻って、ハーデンとポールのペアと比べてハーデンとウェストブルックのペアが互角かそれ以上なら優勝できるとするならば、私はできると思います。

2人で約10個のターンオーバーは心配(玲央)

【否定派 玲央】 ハーデンとポールと比べてハーデンとウェストブルックが互角かそれ以上になれるかということなんですけど、ハーデンとポールのペアが成立したのは、ポールのシュートが上手かったからなんです。ウェストブルックの場合は昨シーズン、5フィート以内のフィニッシュこそキャリアハイの61.2%を記録したんですけど、スリーポイントは全然入らなくなってしまいました。さらに、ウェストブルックはロケッツができるだけ打たない方針のミドルレンジをメチャクチャ打ちます。ウェストブルックをシングルカバーで止められないっていう話だったんですけど、彼のアイソレーションはほとんどミドルシュートで終わります。昨シーズンは、ウェストブルック一人でロケッツ全体よりミドルレンジを打っているんですよ。しかも効率が3割台と非常に悪い。逆にポールはミドルレンジを打つけれど、5割決められるんです。その差は大きいと思います。 あと、マイク・ダントーニHC(ヘッドコーチ)が言うには、今年のロケッツは走りたいらしいんです。走るのはいいんですけど、ロケッツって元々ターンオーバーが多いんですよ。走るチームがターンオーバーしてると逆に相手にも走られて厳しい展開になってしまいます。昨シーズン、ハーデン1人で5ターンオーバーしているんですけど、ウェストブルックも4.5ターンオーバーなんです。2人で10個近いターンオーバーするのはちょっと心配かなと。 さらに、よく言われている「ボールが足りるのか問題」ですよね。USGっていうポゼッションがその選手で終わった割合を指す指標があるんですけど、昨シーズンのハーデンが39.6%、ウェストブルックは30.1%を記録しています。単純にこれが足し算にはならないとは思いますが、7割近くを2人でやることになって本当に大丈夫なのか。周りをどれだけ使えるかという点が心配です。ウェストブルックは周りを上手く使えるのか。デュラントを上手く使えていたのかそうではなかったのか。ウェストブルックはその疑問に答えられないままここまできてしまいました。ボールをメチャクチャ持つハーデンとウェストブルックがどこまで共存できるのか、疑問視している人は多いと思います。

ジェームズ・ハーデンは旧友ラッセル・ウェストブルックと、クリス・ポール以上のケミストリーを醸成できるか

ロケッツが走りたいならウェストブルックは最高(大柴)

【賛成派 大柴】 ポールの方がウェストブルックよりシュートが上手いというご指摘なんですが、それは間違いないです(笑)。ただ、勘違いされがちなのは、ロケッツはスリーポイントのチームじゃなくて、実はスリーポイントとゴール下を増やしてミドルシュートを極端に減らしているチームなんです。ウェストブルックはゴール下のフィニッシュ力がメチャクチャあって、ガードの中ではトップクラス。今まではウェストブルックさえ止めればいいようなチームでアイソしていたからミドルシュートでのフィニッシュが多かったですが、ハーデンのキックアウトからのカウンタードライブなら、ウェストブルックはリムまで侵入できます。ジャパンゲームズでも綺麗な合わせからウェストブルックがレイアップを決めたシーンがあると思うんですけど、おそらくそういうシーンが増えてくるだろうと思います。 たしかにサンダーの頃はミドルシュートを乱発していたイメージですが、ジャパンゲームズではかなりスリーポイントラインにキックアウトしていました。ウェストブルックがドライブからペイントタッチして、スリーポイントラインで待っているゴードンやタッカーにキックアウトするシーンが増えるでしょう。もちろんウェストブルック自身のスリーが入ってくればさらに強くなります。しかし現時点でも、リムまで行けるし、ペイントからキックアウトもできるウェストブルックはポールと遜色ないと思います。 さらに今シーズンは走るという話なんですが、ウェストブルックが一番得意なのはトランジションゲームです。アキレス腱を切る前のジョン・ウォール、ヤニス・アデトクンボ、ベン・シモンズと並んで、ウェストブルックは走らせたらナンバーワンと言ってもいい存在です。特に自分でリバウンドを取ってそのまま行くのは大きな武器なので、ロケッツが走りたいならウェストブルックは最高だと思います。

ウェストブルックが入ることでディフェンスが悪くなる(玲央)

【否定派 玲央】 ウェストブルックはスリーポイントが致命的に入らない状態になっているので、昨シーズンはピック・アンド・ロールをしても相手のディフェンスは徹底してアンダー(ハンドラーのマークマンがスクリナーの後ろを回る守り方)で守っていました。それをやられちゃうとディフェンスはヘルプに行きやすくなっちゃうし、パスをするにしてもさばくポイントが無くなってきます。 さらに、ウェストブルックはディフェンスに不安を抱えています。ジェームズ・ハーデンも棒立ちになって「オフボールのディフェンスを全然しない」とよく槍玉にあげられますが、ウェストブルックも同様の批判をされています。そういう選手が2人いて、ディフェンスは大丈夫なのか。ポールがコートにいるとロケッツのディフェンス・レーティングは7.7上がっていたんです。ただ、ウェストブルックがコートにいると、サンダーのディフェンス・レーティングは5.7下がっていました。ポールの役割をウェストブルックが務めるとすると、単純計算でディフェンス・レーティングが13.4下がる。ロケッツは昨シーズンいいディフェンスを構築できていましたが、ウェストブルックが入ることでディフェンスが悪くなる。トータルで見ると、ハーデンとポールのペアの方が、ハーデンとウェストブルックのペアより良かったのではないかと思えます。

「ロケッツが走りたいならウェストブルックは最高」と語る大柴氏。一方で大西氏はディフェンス面での不安を指摘

最近すごく選手の仲の良さって大事だなと思う(大柴)

大柴:玲央は『ハーデンとポールのペアと比べてハーデンとウェストブルックのペアが互角かそれ以上ならロケッツは優勝できる』という俺の立論の大前提は同意しているんだよね。 玲央:もちろん。 大柴:それを踏まえて、最近すごく選手の仲の良さって大事だなと思うんだよ。ちょっと前まではビッグ・スリーの時代があったけど、スーパーマックスなんていうでかい契約が出てきたのもあって、1チームが抱えられるスーパースターの数が1人か2人になった。あとはその下のクラスをどれだけ揃えられるか、もしくは若手のスターを取れるかっていう話になる。そうなってくると、エゴのあるスーパースターがコンビになっちゃうんだよね。2人っていう人間関係は逃げ場が無いから、3人でバランスを取っていた時よりも単純な仲の良さがチームに与える好影響が大きくなる気がする。ハーデンとウェストブルックなら元々仲が良いから、おそらくライバルとして立ちはだかるだろうカワイ・レナードとポール・ジョージよりアドバンテージがあると思う。 玲央:10歳から仲が良いっていうのはいいんだけど、コート上になるとあの2人って全然性格変わるじゃん。普段の仲の良さがどれだけコート上に影響されるかっていうのは見てみないとわからないと思う。ウェストブルックなんて短気なイメージがすごくあるし、逆に一緒のチームになったことで仲が悪くなったら寂しい。 大柴:その結末は寂しい(笑)。ただ俺は人間関係を1から構築するよりは楽なんじゃないかと思うけどね。 玲央:結局ケミストリーってことね。プレイ云々いろいろ話したけど。 大柴:プレイはハーデンとポールにも、ハーデンとウェストブルックにも良いところと悪いところがあると思う。ウェストブルックならポールより走れるとか、ポールのがディフェンスができるとか色々あるけれど、プラスαのところが大きいんじゃないかな。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー はたして今シーズン、ハーデンとウェストブルックのデュオは機能するのか。2人の意見を参考に、ロケッツの試合をチェックしてみてください。そして「私はこう思う」というご意見も、ぜひコメントでお聞かせください。※最新話を含むBasketball DinerのYoutubeチャンネルは下記リンク参照。

Basketball Diner:ダブドリ編集長・大柴壮平とNBAライター・大西玲央の2人が、NBAビギナーのAncoとNBAの魅力に迫る。トレンドやリーグの仕組みも徹底解説! 注目ニュースやゴシップ、その他旬なトピックを取り上げ、選手や監督、バスケ界のあんなことやこんなことまでくっちゃべる濃縮された情報ナビゲーション番組 https://www.youtube.com/watch?v=Qa5APcVD7nY

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