今季のWNBAを大きく盛り上げたのは、インディアナ・フィーバーのスタールーキー、ケイトリン・クラークで間違いないだろう。 ルーキーながら、シーズン合計アシスト数(337)でWNBA新記録を樹立。合計得点数(769点)と3ポイント成功数(122本)では新人記録を更新するなど歴史的なレギュラーシーズンを送り、文句なしの満票で新人王に選出された。また、オールスター投票ではリーグ史上初めて70万票以上を獲得し、フィーバーの平均観客動員数も前年と比べて3倍以上と、まさに旋風を巻き起こした。
平均19.2点(リーグ7位)、5.7リバウンド、8.4アシスト(同1位)というクラークの活躍もあり、フィーバーはリーグ6位で8年ぶりのプレイオフ進出を決めた。今季の主人公とも言えるルーキーが大舞台でどのような活躍を披露するのか、周囲からの大きな期待と注目を集めプレイオフ1回戦に臨んだが、プレイオフ常連の強豪コネチカット・サン相手にシリーズ初戦で69-93と大敗。甘くはない現実を突きつけられた。
クラーク個人としてもワイドオープンの3ポイントや簡単なレイアップを外すなど、らしくないプレイが目立ち、11点、8アシスト、FG成功率23.5%(4/17)、3ポイント成功率15.4%(2/13)と苦戦。試合後の会見では「いつも決めるショットだったけど、今日は入らなかった。そういう日もある」と意に介していない様子だったが、負ければシーズン終了というプレッシャーの中で復調できるのか、改めてその精神力が試される。
リーグNo.1の堅守を誇るサンはクラークにとってプロデビュー戦の相手で、その試合で10個のターンオーバーを犯すなどプロの洗礼を受けた因縁のチームだ。フィーバーとしても、直近3シーズンの直接対決で1勝11敗、また敵地モーヒガン・サン・アリーナでは2016年以来勝利なしと圧倒的に苦手にしている。
数字上は勝機がほぼ無いように見えるが、「次戦は勝てるとロッカールームの全員が信じている」とクラークの自信は揺らいでいない。大学時代にチームを2年連続でNCAAトーナメントの決勝に導くなど大舞台での経験は豊富なため、次戦のパフォーマンスに期待が高まる。 第2戦に勝利できれば、熱狂的なファンが待つ本拠インディアナに戻ることができるフィーバー。果たしてスーパールーキーはシリーズ突破の希望を繋げるのか。その活躍から目が離せない。