4年に1度開催されるスポーツの祭典、オリンピックがフランスのパリを舞台に始まった。バスケットボールでは48年ぶりの五輪自力出場となる男子日本代表が、日本時間7月27日(土)20時30分(NHK総合で放送)からドイツと対戦する。
FIBAバスケットボールワールドカップ2023(以降、W杯)の王者という難敵が相手となる日本だが、好材料はエースの八村塁が好調なことだろう。オリンピック直前の強化試合では、ドイツ戦で19点、セルビア戦で29点と試合には敗れたものの気を吐いた。得意のミッドレンジや3ポイントシュートを積極的に狙い、本番でも得点源としての活躍に期待が持てる。セルビア戦では第3クォーターに4つ目のファウルを犯しベンチに下がると、その後日本は流れを掴めずにセルビアに大量失点を喫した。そのため、ファウルトラブルに陥ることだけは避けたい。
チームキャプテンである富樫勇樹と並ぶ、“コー・キャプテン”を務める渡邊雄太の存在も日本には不可欠だ。6月初旬に負った左ふくらはぎの肉離れで状態が心配されたが、セルビア戦で戦列復帰。先発出場して15分間で10点と復活をアピールした。本人は試合後、「これだけプレイできたので、本番では怪我の怖さはなくできると思う。自信を持って五輪に行ける」と手応えを口にしている。強豪ドイツ戦では、これまで以上にNBAでの経験が豊富な2人の活躍に期待がかかっている。
FIBAランク3位(日本26位)という格上相手に勝利するためにも、各選手には期待以上の活躍が求められる。なかでも河村勇輝と富永啓生の23歳コンビには注目したい。河村は強化試合のドイツ戦では7点、3アシストと苦戦したが、セルビア戦では12点、8アシストを記録するなど本来の調子を取り戻しつつある。チームとして完成度の高いドイツのディフェンスを、得意のドライブでかき乱したい。 富永は直近2試合では安定したパフォーマンスを披露できずにいる。代名詞の3ポイントはわずか1本のみで出場時間も伸びていない。とはいえ、当たり出したら止まらない爆発力は魅力であり、今大会屈指のシューターが波乗るようであれば日本が番狂わせを起こすチャンスは大きくなるはずだ。
ドイツはW杯に続き、パリオリンピックでも優勝候補の一角と目されている。五輪前ラストの強化試合となったアメリカ戦では敗れたものの、スーパースター揃いのチーム相手に4点差の接戦を演じるなど状態は良い。 特に注意したいのは、若きエースとして君臨するフランツ・バグナーだ。所属するオーランド・マジックで昨季平均19.7点を記録した22歳のウィングは、日本との強化試合で27点、8リバウンドと活躍。アメリカ戦でもチーム最多の18点を挙げるなど、順調な仕上がりを見せている。 また、ドイツにとってまさに大黒柱と言える存在なのが、W杯でMVPに輝いたデニス・シュルーダーだ。11年のNBAキャリアを誇る司令塔は、直近3試合で20アシストを記録したのに対し、ターンオーバーはわずか3回と抜群の安定感を披露している。守備でもフルコートでマークマンにプレッシャーをかけるなど隙がない。河村がW杯での対戦を振り返り、「個人的にはリベンジするにはいい機会」と雪辱に燃える相手だが、ワールドクラスの司令塔とのマッチアップには注目だ。