ダラス・マーベリックス(以下マブズ)は日本時間2月6日(現地5日)に、電撃トレードでブルックリン・ネッツからカイリー・アービングの獲得に動いた。 今季平均27.0点、5.3アシスト(成績は日本時間2月9日時点)を記録するNBA屈指のスコアラーと、ルカ・ドンチッチで形成するバックコートはリーグ最高峰の破壊力だ。マブズを優勝候補に推すメディアも出てくるなど、アービングに対する期待が日を追うごとに増している。
昨季、ウェスタン・カンファレンス決勝に進出したマブズは、今シーズンの飛躍を期待されたチームの一つだった。しかし、フタを開けてみると、ウェスト首位のデンバー・ナゲッツから8.5ゲーム差の30勝26敗と勝ち星を思うように伸ばせず。ドンチッチは平均33.4点、8.9リバウンド、8.2アシストとMVP級の活躍を見せているが、大黒柱を支えられる選手がいないことが問題となっていた。 ドンチッチが出場している際はチームのオフェンシブ・レーティングがリーグトップ(118.7)だが、不在時はリーグワースト(106.8)に急降下。エースの負担は顕著で、どこからでも独力で得点を狙え、プレイメイクもできるアービングの加入は、ドンチッチにとって待ちに待った相棒の獲得と言えるだろう。
しかし、トレード成立後に話題に上がったのが、「ボールを持つ時間が長い両選手を、どう扱うのか?」という疑問だ。ドンチッチは1試合での平均ボール保持時間が9.6分でリーグトップ。また、アイソレーションの平均得点もドンチッチが1位(8.7)でアービングが4位(6.2)と、どちらもボールがあってこそ能力を発揮するタイプではある。その2人がコート上で噛み合うかは未知数で、ある種のギャンブルとも言えるだろう。
こういった懸念に対してジェイソン・キッドHC(ヘッドコーチ)は「お互いにそれなりの犠牲を払う必要がある。カイ(アービング)はオフボールでのプレイ経験があるし、ルカも去年少しやったことがあるからうまくいくと思うよ」と自信を口にした。 確かにアービングはクリーブランド・キャバリアーズ時代にレブロン・ジェームズ(現ロサンゼルス・レイカーズ)、ネッツではケビン・デュラント(現フェニックス・サンズ)とジェームズ・ハーデン(現フィラデルフィア・76ers)といった、スーパースターとプレイしてきた過去がある。デュラントとハーデンの3人でプレイしたのは16試合のみだったが13勝3敗の好成績を残し、ジェームズとはチャンピオンリングを勝ち取っている。チーム状況によるところは大きいが、ジェームズ以上にボールを保持する傾向にあるドンチッチともシナジーを生めるか注目が集まる。
9日(同8日)のロサンゼルス・クリッパーズ戦で新天地デビューを飾ったアービングは、早速チームトップの24点を記録して勝利に貢献。ドンチッチは欠場したが、試合の前半はオフボールでのプレイが散見され、後半は逆にボールを持たせる機会を増やすなど、ドンチッチがいる状態を想定した上で様々なことを試すシーンが見られた。
アービングは「今日のデビューは良かったけど、77番(ドンチッチ)が戻ってきたらもっと楽しめるだろうね」とエースとのプレイを心待ちにしている。 現在、かかとの打撲で3試合連続欠場中のドンチッチだが、早ければ11日(同10日)のサクラメント・キングス戦で復帰すると予想されている。果たして両者がどのようなケミストリーを発揮するのか、今後のマブズから目が離せない。 ■ダラス・マーベリックス対サクラメント・キングス 日時:日本時間2月11日(土)正午 会場:ゴールデン1センター 解説:中原雄 / 実況:永田実 視聴可能プラン:LEAGUE PASS