「今のユータは自信を持ってシュートを打てているね。彼が4〜5番でプレイしてくれるからスモールラインナップが組めて、より柔軟に戦うことができるんだ」 2014年にMVPを受賞し、12度のオールスター選出歴を誇るブルックリン・ネッツのケビン・デュラントが、日本時間11月6日（現地5日）のシャーロット・ホーネッツ戦後にチームメイトの渡邊雄太を絶賛した。この試合で渡邊は2本の3ポイントを含む8点を記録すると同時に、守備ではデュラントの言葉通り複数ポジションに対応。試合終盤のクロージングラインナップに入るなど、攻守にわたる活躍で逆転勝利に大きく貢献した。 約1か月前までは開幕ロスター生き残りを懸けて戦っていた渡邊だったが、最近ではチームに欠かせない存在として飛躍を続けている。
渡邊は11月の7試合で平均21.5分、11点、4.1リバウンド、FG成功率60.9%、3ポイント成功率55.6%（日本時間11月20日時点）と絶好調だ。足首の怪我で2試合を欠場するも、復帰後もローテーションから漏れることなくコンスタントに出場。スモールラインナップに適応できる万能性、どんなプレイも諦めないハッスルプレイや献身性の高い守備、抜群の精度を誇る3ポイントでチームに活力をもたらし、出番を増やしている。
頼れる3&Dとして結果を残して出場時間が増加
渡邊に対する期待が垣間見えるのが、第4クォーターの出場時間だ。ネッツは11月に10点差以内で決着した試合が4戦あったが、負傷退場したダラス・マーベリックス戦を除けば渡邊はそのうちの3試合すべてでプレイ。また出場時間は平均9.3分と、ロイス・オニールに次いでチーム2番目の長さを誇る。試合終盤の緊迫した場面での出場はもはや当たり前になりつつあるのだ。
直近の試合で最も印象的だったのは、11月18日（同17日）のポートランド・トレイルブレイザーズ戦だろう。出場29分で3ポイントを自己最多となる5本成功し、20点、7リバウンドと、ベンチからの起爆剤として躍動。特に第4クォーターは圧巻のパフォーマンスだった。3本すべての3ポイントを決めれば、守備でも相手エースのデイミアン・リラードに対して粘り強いディフェンスでシュートミスを誘発するなど、抜群の存在感でチームを勝利に導いた。 この活躍にジャック・ボーンHC（ヘッドコーチ）は「前半のユータは良い出来とは言えなかったが、チームが彼を信じ続けてボールを回した。彼が辛抱強くプレイしたから功を奏したね」と、前半無得点に終わるも諦めずに戦った渡邊の姿勢を評価。実力者が並ぶネッツのなかで、渡邊に対する信頼は確固たるものになったとも言える。
渡邊がここまでの活躍を見せられているのは、3ポイントシュートの出来が大きく影響している。ここまでリーグトップの成功率（55.6%）を誇り、特にコーナーからは驚異の73.7%（14/19）を記録。なかなか今のような成功率を維持するのは難しいと思われるが、このまま安定的に沈めることができれば、オールスターの3ポイントコンテストへの出場も夢ではないだろう。
絶好調の3ポイントはネッツの大きな武器に
好調の要因について本人は、「KD（デュラント）やカイ（カイリー・アービング）のような選手がいると、誰かがオープンになる。練習のように打てるからチームメイトのおかげですね」と自分を上げることなく、仲間への感謝を口にしている。無論スターとプレイをする恩恵があるのは間違いないが、渡邊が3ポイントを決めているからこそスペースが生まれるため、逆も然りである。 渡邊の活躍に呼応するかのように、ネッツも直近10戦は6勝4敗と上向き調子。チームに不可欠な存在となった男のプレイから今後も目が離せない。 ■【THE MATCHUP】ブルックリン・ネッツ対フィラデルフィア・76ers 日時：日本時間11月23日（水）午前9時30分 会場：ウェルズ・ファーゴ・センター 解説：佐々木クリス / 実況：加藤暁