この男を止める術はあるのか。4試合連続で35点、10リバウンド以上、2022年に入ってからは平均34.5点を記録しているフィラデルフィア・76ers(以下シクサーズ)のジョエル・エンビードがコートを支配している。
昨季のMVP投票ではニコラ・ヨキッチ(デンバー・ナゲッツ)に次ぐ2位に終わり、不満をあらわにしたビッグマンは、ここまで平均29点、10.8リバウンド、4.3アシストを記録。得点とアシストはキャリアハイだ。トレード要求問題のベン・シモンズが開幕から欠場するなかチームを牽引し、再びMVPの有力候補に浮上している。 身長213cm、体重127kgというサイズに似合わぬ多彩な得点スタイルを武器にするエンビードだが、今季はそのスキルに磨きがかかっている。最大の強みであるフィジカルを活かしたポストアップからは、リーグトップの平均10.8点とゴール下で無類の強さを発揮。それに加えて、3ポイント成功率はキャリア最高の38%と、内外で得点を重ねていく様はまさに“アンストッパブル”だ。シクサーズはイースタン・カンファレンス首位を走るマイアミ・ヒートとは2.5ゲーム差の6位。2年連続カンファレンス1位となるチャンスはまだ十分にある。また、チームの順位が上がってくれば、エンビード初のMVP受賞の可能性も高くなるだろう。
シクサーズは日本時間1月28日(現地27日)に、ホームでロサンゼルス・レイカーズと対戦する。注目されるのは、エンビード同様に今季ハイパフォーマンスを披露するレブロン・ジェームズとのMVP候補対決だ。ジェームズは現在2010-11シーズン以降では最も高い平均29.1点を記録。24勝24敗のウェスト8位とチーム成績こそ振るわないものの、得点ランクは2位と自身2度目の得点王も射程圏内で、今後チームの調子が上向けばMVP争いの強力なライバルになることは間違いない。キャリア19年目にして「今までのキャリアで最高のゾーンに入っているね。まだ止まることはない」と本人も自信満々で、改めてNBAの“キング”であることを証明している。 そんな絶好調のジェームズに加えて、攻守の要であるアンソニー・デイビスも27日(同)のブルックリン・ネッツ戦で復帰を果たした。それでもシクサーズには、今季エンビードが30点以上記録した試合で16勝5敗という心強いデータもある。勝利のカギを握るエンビードが、過去4度オールNBAディフェンシブチームに選出された実績を持つデイビスとのマッチアップを制し、ジェームズをも凌ぐ活躍ができるか注目だ。