シーズン開幕から2か月が経ったが名門ロサンゼルス・レイカーズ(17勝18敗)の調子はいまだに上がってこない。アンソニー・デイビスは左膝の怪我で最低でも1月中旬までの離脱が発表されており、フランク・ボーゲルHC(ヘッドコーチ)、トレバー・アリーザ、ケント・ベイズモア、オースティン・リーブス、ラジョン・ロンドも安全衛生プロトコル入りで不在。そうした苦しいチーム事情もあって、直近6試合で5敗、勝率も5割以下に落ち込んでいる。現地12月30日に37歳の誕生日を迎えるレブロン・ジェームズは5試合連続の30点超えと気を吐くが、不振のチームを救うまでには至っていない。
ジェームズが奮闘する一方、戦犯に挙げられているのがラッセル・ウェストブルックだ。今季は平均19.8点、8リバウンド、8.2アシスト、FG成功率に関してはキャリアで3番目に高い45.5%と、個人としてはまずまずの成績を残しているが、プラスマイナスは20分以上プレイする選手の中でチームワースト2位。また、『Basketball Reference』が用いる勝利への貢献度を示す“Win Shares”は、今季最低保証年俸でプレイするゲイブ・ビンセント(マイアミ・ヒート)よりも低い171位と、年俸4420万ドル分の働きが出来ていないと批判の的となっている。 現地メディアがトレードを推奨するなど、風当たりはこれまでにないほどに厳しくなっているが、ジェームズは「彼が見せる気迫や、どんなプレイに対しても一生懸命な姿はすごい。自分はそれを理解しているから全く問題視してない」と司令塔を全面的に擁護。その期待に応えようとウェストブルックも「自分が出来ることすべてをコートで出すだけ」と周囲の声は意に介さず、自らの役割を全うすると宣言した。
嫌な雰囲気を断ち切るには勝利が必要となるが、そのためには守備の改善が求められる。今季レイカーズはボーゲル政権以降ではワーストとなるディフェンシブ・レーティング(108.2/リーグ12位)を記録しており、ペイント内(48.6/24位)、速攻(13.7/25位)、ターンオーバー(17.6/24位)の平均失点はいずれもリーグ25位以下と、昨季までの強みだった堅守が崩れている。勝ちこそしたが29日(同28日)には、ウェスト最下位のヒューストン・ロケッツ相手に最終局面まで接戦にもつれた上に123失点を喫し、改めて守備の立て直しが急務であることを露呈した。 30日(同29日)に予定されるメンフィス・グリズリーズ(21勝14敗)との一戦でも、守備の出来が勝敗を分けるポイントになる。12月以降は10勝4敗と好調のグリズリーズは、9人が平均7点以上を記録する総合力の高さを武器にリーグ6位のオフェンシブ・レーティング(111.3)を誇る。レイカーズとしてはここでグリズリーズを封じられれば、大きな自信になるだろう。 最も警戒すべきはエースのジャ・モラントだ。28日(同27日)のフェニックス・サンズ戦では決勝シュートを含む33点を挙げ、リーグ2位の強豪を撃破する立役者となった。誰か1人で止めるのは困難を極めるが、期待したいのがポジション的にマッチアップするウェストブルックの奮起だ。批判の声を沈めるチャンスとなるだけに、自身を憧れの選手として敬うモラントを抑えてチームを勝利に導きたい。果たしてレイカーズ、そしてウェストブルックは復調のきっかけを掴めるか。