「試合を楽しみ、チームが勝つために力を出し切る」 NBAファイナル第3戦後の会見でこう語ったのは、バックスのヤニス・アデトクンボだ。シリーズ2連敗と厳しい状況のなか、迎えた第3戦で41得点、13リバウンド、6アシストを挙げる八面六臂の活躍で120-100の勝利に貢献。NBAファイナルでの2試合連続40得点以上、10リバウンド以上は、2000年にロサンゼルス・レイカーズのシャキール・オニールが達成した以来となる大車輪の活躍だった。 バックスがファイナルの舞台に上がるのは約半世紀ぶり。優勝に対するプレッシャーがエースの双肩に重くのしかかるが、アデトクンボは「ここまでは辛く、長い道のりだったから、この瞬間を噛み締めながら挑んでいる」と自身初の大舞台を楽しんでいる。 2013年のドラフト全体15位で指名され、そこからの8年間で2度のMVP、最優秀守備選手賞など数々の個人タイトルを獲得し、フランチャイズの顔となったアデトクンボ。しかし、ギリシャで過ごした幼少時代は、貧しい家庭環境のなかで育った。その辛い経験を経てたどり着いた「楽しく、そして全力でプレイする」というモットーを胸に、50年ぶりの優勝を目指すチームを鼓舞し続ける。 第4戦で対戦成績をタイに戻したいバックスは、アデトクンボを中心にサンズのインサイドを攻めていきたい。アデトクンボは今ファイナルでフィールドゴールを35本(35/56:成功率62.5%)決めているが、そのうち30本(30/38:成功率78.9%)はペイント内だ。また、第3戦ではファウルトラブルに苦しんだサンズのディアンドレ・エイトンが後半にベンチに退くと、その間に17得点を挙げた。サンズは控えセンターのダリオ・シャリッチが怪我のためにビッグマンが手薄な状態なだけに、エイトンを攻め立てペイントを支配したい。 苦難を乗り越え、大舞台でも喜ぶ気持ちを忘れない「グリーク・フリーク」。47年ぶりにファイナルで勝利を挙げたバックスを、勢いをそのままに連勝へと導けるか。 バックスとサンズのNBAファイナル第4戦は、日本時間7月15日(現地14日)にバックスの本拠地ファイサーブ・フォーラムで開催される。