日本時間2月11日(現地10日)の午前9時、キャピタルワン・アリーナでトロント・ラプターズとワシントン・ウィザーズが対戦する。今シーズン初めて八村塁(ウィザーズ)と渡邊雄太(ラプターズ)がマッチアップするかもしれないのだ。「NBA Rakuten」ではこの“2.11”を前に、2人の初対決、今季の2人の活躍、そしてチームの近況&試合プレビューと3つのテーマに分けてフィーチャーする。「THE MATCHUP」、初回は2019年12月15日(同14日)に実現した初対決だ。
2019年6月のドラフトで八村がウィザーズに指名された時、多くのNBAファンが期待した事のひとつが、前年10月に当時所属していたメンフィス・グリズリーズでNBAデビューを果たしていた渡邊との対決だった。2004年に田臥勇太(現Bリーグ 宇都宮ブレックス)がフェニックス・サンズでNBAデビューして以来、長らく日本人選手がNBAのコートに立つことはなかった。それが渡邊のグリズリーズ入り、そして八村のウィザーズ入りによって、NBAに日本人選手が2人いるという史上初めての状況が生まれたのである。 2人はともにフォワードで、高校までは日本、大学からはアメリカと歩んできた道のりも同じ。しかし、3歳差があるのと大学も所属リーグがそれぞれ異なっているため、公式戦で対峙する機会はなかった。そんな2人が同じリーグにいるのだから、初対決が実現するのは時間の問題と言えた。 そして八村がウィザーズに指名されたドラフトから約半年後、夢は現実のものとなる。 メンフィスのホーム、フェデックス・アリーナで「ジャパニーズ・ヘリテージ・ナイト」と銘打って開催されたグリズリーズ対ウィザーズ戦、2人は同じコートに立っていた。当時、2ウェイ契約だった渡邊の主戦場はGリーグのメンフィス・ハッスルだったが、この日はグリズリーズに帯同していたのだ。 八村は先発で出場。渡邊はベンチで戦況を見守る。その後、八村がベンチに下がっていた第2クォーター途中に渡邊がコートイン。この瞬間、2019年12月15日(同14日)のウィザーズ対グリズリーズ戦は、日本人選手2人が出場したNBA史上初の試合となった。
第2クォーター残り7分42秒、八村が試合に戻ったことで日本人選手2人が同時出場を果たすという歴史的な瞬間が訪れる。それからおよそ1分後には、2人のマッチアップが実現した。右ウィングでボールを手にした八村はドライブを仕掛け、プルアップジャンパーを放つ。対する渡邊も懸命に手を伸ばし、シュートミスを誘発した。それから間もなく渡邊は交代でベンチに下がり、2人の同時出場は終わった。
その間、1分9秒。48分の試合の中ではほんの一瞬だったかもしれない。しかし、日本バスケットボール界にとっては偉大な飛躍となった。試合後、八村は試合に敗れた悔しさを滲ませながらも「少しの時間でしたけど、歴史に残る大きなこと」と、渡邊との初対決を振り返った。試合前には「(日本人対決について)そういう事は気にせず、普段通りのプレイをやっていきたい」と語っていた渡邊も、試合後は八村にユニフォーム交換を提案していたことからも、特別な一夜であったことは十分感じていたに違いない。 それから約2か月後の2月10日(同9日)、2チームは再び対戦し八村、渡邊ともに試合には出場したが、同じ時間帯にプレイすることはなかった。
それから約1年。2年目を迎えた八村は、ウィザーズの主力としてコートに立ち続けている。一方の渡邊は昨オフにラプターズへ移籍。1月以降は2ウェイ契約ながらローテーション入りを果たし、重要な場面でコートに立つ機会も増えてきた。 ケガや健康・安全プロトコルによる欠場がない限り、11日の試合はともにアクティブロスターに登録されるだろう。チームはいずれもプレイオフ圏外ながら、上昇の兆しも見えつつある。2人とも、何よりもチームの勝利を優先するはずだが、もし2度目のマッチアップが実現した際にはどのようなプレイの応酬が繰り広げられるのか。約1年2か月ぶりの1オン1を、期待せずにはいられない。
■トロント・ラプターズ対ワシントン・ウィザーズ 試合情報 日時:2021年2月11日(木)午前9時 会場:キャピタルワン・アリーナ 通算対戦戦績:ラプターズ54勝・ウィザーズ37勝 今季成績(日本時間2月5日時点) ウィザーズ:5勝13敗(.278) ラプターズ:9勝12敗(.429)