マイアミ・ヒートは、ロサンゼルス・レイカーズとのNBAファイナルに敗れ、2012-13シーズン以来の優勝は叶わなかった。その勇猛果敢な戦いぶりは多くの人々の心を打ったが、なかでも最も株を上げたのが、大黒柱のジミー・バトラーだろう。 これまでシカゴ・ブルズ、ミネソタ・ティンバーウルブズ、フィラデルフィア・76ersと渡り歩いてきたバトラーは、熱くストイックな性格ゆえに、コーチやチームメイトとの衝突が何度も報じられてきた。しかし、今季移籍したヒートでは、チームフィロソフィーと自身のスタイルが合致し、真のチームリーダーとして開眼。バム・アデバヨやケンドリック・ナン、タイラー・ヒーローといった若手の手本となり、チームの快進撃を牽引してきた。 レイカーズとのファイナルでも、第5戦でファイナル史上初となる35得点、10リバウンド、10アシスト、5スティール以上を記録。2015年のレブロン・ジェームズ(当時クリーブランド・キャバリアーズ)以来となる、シリーズ2度目となる30得点以上でのトリプルダブルを達成するなど八面六臂の活躍を見せた。 『ニューヨーク・タイムズ』のマーク・スタイン記者は、「ジミー・バトラーはマイアミにおあつらえ向きだった」との見出しで記事を展開。“ブレイクアウトスター”と称して、バトラーについてこのように述べている。 「シーズン開幕時、バトラーは気の強いベテランのオールスターとして認知されていた。1年後、ヒートを第5シードからNBAファイナルへと導き、シリーズで2度ジェームズを打ち負かした。バトラーは多くのリスペクトを集め、リーグトップ10に入る選手の1人になったと言っていい」 スタイン記者によれば、ブルズ時代の同僚であるミルウォーキー・バックスのロビン・ロペスは、プレイオフのカンファレンス準決勝でヒートに敗れた際にバトラーを「この男は宝だ」と呼んでいたという。また、ファイナル敗退決定後には、元同僚のパウ・ガソルも自身のツイッターで「君は世界最高の選手の1人であり、素晴らしいリーダーだ!!」と称賛している。 「俺は周囲の人が言うことは気にしていない」 常々こうクールに語ってきたバトラーだが、オールスター通算5回出場という経歴以上に、彼がリーグで、そして世界中で認められる存在となったのは間違いないだろう。