ロサンゼルス・クリッパーズは今季、新加入のカワイ・レナードとポール・ジョージが二枚看板として君臨し、ウェスタン・カンファレンス2位(44勝20敗)の好位置につけている。“弱小軍団”だった1980年代から2000年代前半までとは一転、リーグを代表する強豪に変貌した理由の一つに、選手とオーナーの好関係があるようだ。 クリッパーズは1981年から33年間、実業家のドナルド・スターリング氏が所有。ケチのオーナーとして知られ、大金を費やす補強は行わず低迷期が続いた。人種差別発言が明るみに出てNBAを永久追放となった2014年、チームを買い取ったのがかつてビル・ゲイツの右腕を務め、マイクロソフト社CEO(最高責任者)だった現オーナーのスティーブ・バルマー氏だった。
バルマー氏はスターリング氏とは異なり、ファンに負けないほど熱狂的にチームを応援。今季トレードでクリッパーズ入りしたジョージは、元NBA選手のクエンティン・リチャードソンとダリアス・マイルズがホストを務める『The Knuckleheads』で、オーナーの熱意に共鳴を感じていることを明かした。 「ショーじゃないし、注意を引こうとしているわけでもない。それがスティーブ・バルマーという人物で、100%のエネルギーを注いでいるだけさ。彼はここで文化を築きたいんだ。『君たちが必要なもの、ロッカールームに足りないもので欲しいものがあれば私のところへ来なさい』と僕らに何度も言っている。すべての選手がクリッパーズに来たいと思うことを望むよ。僕はこのチームで歴史を築きたい」 NBAでは、ダラス・マーベリックスのマーク・キューバン・オーナーもコートサイド最前列でユニフォームを着て熱狂的な応援をすることで知られる。ジョージによれば、バルマー氏は一緒に戦う“仲間”のような感覚があるという。 「どんな試合の後にも『いい仕事だった』『みんな懸命に戦った』とテキストメッセージをくれる。いつもロッカールームの入口で待ってくれているし、彼とのハイファイブで試合を締めくくると、僕らの一部なんだと感じる。彼はオーナーじゃなく、このチームの一員だ。彼のためにプレイしたいと思うし、チャンピオンシップをプレゼントしたい」 球団創設50周年目の節目を迎えているクリッパーズ。ジョージやレナードら選手、スタッフ、オーナーのバルマー氏が一丸となり、悲願の初優勝を手にしたいところだ。