NBAのチームって儲かるの? 知られざるNBAのビジネスとは【家徳悠介コラム vol.1】

NBA好きの皆さま、米国ニューヨークにてスポーツビジネスコンサル+スポーツテクノロジー事業をやっております、スポーツいや、“NBAヲタク”な家徳悠介です。シーズンも後半戦を迎え、ますます見どころが増えてきましたね。個人的にはスモールボールを極めているヒューストン・ロケッツが、プレイオフでどこまで通用するのか注目しています。 今週からスタートする私のコラムでは、NBAの「裏側」で起きているビジネストピックや、NBAで活用されている最新テクノロジー等を紹介していこうと思っています。今回は第一弾として、「そもそもNBAのビジネスってどうなってるんだ?」という点を、大まかに解説していきます。 その前に、そもそもNBAってどれ位大きなリーグなのかご存知ですか? リーグは収支を公表していないものの、経済誌『Forbes』の分析によると昨季のNBA全体での売り上げは、なんと88億米ドル(約1兆円)にも上るそうです。

1. どうやってNBAは売り上げを作っているの? 

では、これらの売り上げがどのようなものによって構成されているかを説明します。 <主要売上(規模順に列挙)> 1) 放映権 2) スポンサー 3) チケッティング 4) マーチャンダイス(グッズ販売) NBAは放映権料の売り上げが圧倒的に高く、2014年には米国大手スポーツ局ESPN社、同大手放送メディアのターナー社と9年計240億米ドル(約2.7兆円)もの大型契約を締結しています。つまり、全国放送用放映権だけで年間約3,000億円も稼いでいる計算になります。 これに加え、各チームはそれぞれの地元放送局に年間約千万~1.5億米ドル(約50~170億円)でローカル放映権を販売したり、海外放映権で年間約5億ドル(約550億円)も儲けているのですから、莫大な金額になるのも頷けるでしょう。放映権に続くのが、スポンサー、チケッティング、マーチャンダイスなどです。 意外に少ないのが各チームのチケット収入です。各チームとも、良く見積もってもシーズンで1億米ドル程度(約110億円)にしかならないとみられています(注:年間41試合ホームゲームを行い、一試合平均入場者が1.5万人から2万人で、その平均単価が約100米ドルである為。プレイオフは除く)。

NBAの放映権料は上昇の一途をたどる。それに伴い、選手の年俸も高騰している

2. 売上でなく、利益は出てるの?

ビジネスの世界では、売上がある程度あっても運営費が高すぎて利益が出ていないというケースがしばしば見られます。『Forbes』によると、実はNBAも、2010年頃までは半数程のチームが赤字経営でした。それが、①先述の超大型放映権が締結された事、並びに②11年に締結された新規労使協定で選手給与が全体売上に占める割合が低減された事で、ようやくすべてのチームが黒字となったのです。昨季に関しては、オクラホマシティー・サンダー以外の29チームが黒字でした。 ちなみに、ニューヨーク・ニックス、ゴールデンステイト・ウォリアーズなど6チームは、1億米ドル(約110億円)以上の利益を出していたとの事です。

3. それだけじゃない、NBAチームオーナーになる魅力!

先述の通り、リーグ、各チームともにとてつもない金額を稼いでいますが、もっと凄いのは各チームが時間と共に資産価値がとてつもなくアプリシエート(上昇)している事です。 『Forbes』が算出した、北米4大スポーツリーグの過去10年間におけるチームの平均資産価値推移をご覧ください(NBAは紫色)。

他のリーグと比較すると、NBAチームの上昇率の高さが際立っているのがわかる

どのリーグも右肩上がりではありますが、なかでもNBAチームの資産価値は2010年からの10年間で約6倍に上昇しているのです。 2010年にマイケル・ジョーダンがシャーロット・ホーネッツのマジョリティー・オーナーとなる際に1.75億米ドル(約195億円)を支払ったのに対し、18年にチームの一部株式を売却した際には購入当時の約10倍となる15億米ドル(約1,650億円)の資産価値を付けた事からも、如何にNBAチームの資産価値が高騰しているかが分かると思います。このように、チーム収入の10倍以上のマルチプルで価値を付けているチームが大量にあるのです。 『Forbes』試算で最高評価額となっているニューヨーク・ニックス(46億ドル/約5,100億円)と、ロサンゼルス・レイカーズ(44億ドル/約4,900億円)を筆頭に、各チームの平均資産価値は20億ドル(約2,200億円)を超えているのですから、各オーナーにとってはウハウハな状態としか言えません。 更に、NBAでは中国を始めとする国際市場からの関心も年々増しており、今季のシーズン開幕時のロスターに108名もの外国籍選手がリーグにいた事を鑑みると、今後海外収入も増加の一途を辿ると予想されます。各オーナーは、もうよだれが止まらないでしょう(笑)。


今回はNBAのビジネス規模、並びにその内容をざっくり説明させて頂きましたが、NBAがリーグとして如何に健全な経営をしており、また各チームがどれ程儲かっているかが分かったと思います。 次回からは、より専門的かつ具体的な事例を紹介していきますね。 Please stay tuned!

家徳悠介:「スポーツはヲタクに変えさせろ」をスローガンに、 ニューヨークをベースにスポーツビジネスコンサル、及びスポーツテクノロジー事業を行う「スポヲタ社」を経営。テクノロジーを活用して、よりスポーツを面白くする事を心掛ける。

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