日本時間10月23日よりレギュラーシーズンが開幕するNBAのロスター入りを目指し、プレシーズンを戦っているメンフィス・グリズリーズの河村勇輝 。15日に行われたインディアナ・ペイサーズ戦では自己最多25分の出場時間で10得点、7アシストと成長の証を見せている。
プレシーズン4試合連続出場となった一戦では前の試合に続き、1試合の半分以上となる25分と多くの出場機会が巡ってきた。これまでの試合でもアシストやディフェンスといった面では河村らしさを存分に見せてきた一方で、得点面ではシュートが度々エアボールになるなど今ひとつ感覚を掴めないでいた。 長く日本を主戦場としてきた河村にとって、NBA選手のフィジカルやリーチ、さらにはボールや3ポイントラインの距離など“NBA規格”へのアジャストはそう簡単なものではなかったのだろう。それでも河村はこの日、脅威の適応力を披露する。デビュー戦で決めて以降、7本放って全て外していた3ポイントを3本成功させると、終盤にフリースローを1本決めNBAの舞台で初の2桁得点を記録した。 また、それまでもインパクトを残していたアシストでも、河村らしさを如何なく発揮した。第3クォーター中盤にペイントアタックを仕掛けると、逆サイドからゴール下にカッティングしてきたジェイ・ハフへノールックパス。相手ディフェンスが全く反応できなかったこの超絶アシストは、NBAの公式Xでも紹介され、アメリカのスポーツ専門局『ESPN』の人気番組内ではこの日のNo.1アシストに選出された。 これにはグリズリーズOBで、守備のスペシャリストとして活躍したトニー・アレンも、「どうやって見えていたのかすら分からない」、「彼が守備を崩すのに慣れていることは見れば分かる」と称賛。これまでの3戦以上に、その存在をコーチ陣にアピールする一戦となったはずだ。
シーズン開幕まで1週間を切ったが、河村がNBAのロスター入りを果たすには今のエグジビット10契約から、NBAとGリーグを行き来できる2ウェイ契約(各チーム3人まで)へと移行することが必要となる。そんな中、2ウェイ契約だったスコッティ・ピッペンJr.が、16日に複数年の本契約を結んだと発表された。これによりグリズリーズの2ウェイ契約枠に一つ空きができ、同契約への昇格を目指す河村にとっては追い風と言える状況になっている。 当初はウェイブ(契約解除)からのGリーグ行きが既定路線と思われていたが、トレーニングキャンプ、プレシーズンを経てコーチ陣からの信頼を得るまでに成長。今や地元ファンからも2ウェイ契約を望む声が聞こえるほどだ。テイラー・ジェンキンスHC(ヘッドコーチ)も「オープンな競争だ」と河村の2ウェイ契約移行について否定はしておらず、開幕を目前にして同契約が手の届く位置まで来ていることは間違いない。 19日に行われるプレシーズン最終戦でグリズリーズは、ホームにマイアミ・ヒートを迎える。同試合では怪我で戦列を離れていたエースのジャ・モラントと、守備職人であるマーカス・スマートが復帰する予定だ。そのため河村に与えられる出場時間は限られたものになるかもしれないが、その中で猛アピールを見せたいところ。果たして2ウェイ契約を勝ち取り、日本人4人目のNBAデビューへと近づけるのか。河村勇輝のプレシーズンラストファイトに期待だ。
視聴にはNBA Rakutenの会員登録が必要ですが(楽天IDでログインするのみ)、視聴プランのご購入や楽天モバイルのご契約は不要です。なお、これまで河村選手が出場したプレシーズン4試合も無料配信しています。※試合の配信は予告なく中止となる可能性があります。