今年アメリカでスポーツベッティングが合法になるや否やベッティング会社のMGMとスポンサー契約を結んだり、どのプロスポーツリーグより先んじて自前のesportsリーグ(NBA2Kリーグ)を立ち上げたりと、常にイノベーションを起こし続けているNBA。そんなNBAの今季注目すべき主なテクノロジートレンドを、前編・後編の2回に分けて紹介したい。

ウェアラブルテクノロジー

NBAが練習中に選手への着用を承認している「Kinexon(キネクソン)」(*)というウェアラブルテクノロジーが注目を集めている。わずか手の平サイズ(30グラム以下)の器具とアリーナ内に設置された特殊センサーによって、選手のあらゆるトラッキングデータ(走行距離やジャンプの高さ、スピード等)や、フィットネスデータ(心拍数から健康状態、怪我の回復具合等を統合的にデータ化)を正確無比に、しかもリアルタイムに提供できる優れ物。2017年にフィラデルフィア・76ersが取り入れたのをきっかけに、現在では30チーム中14チームがこの機器を導入している、今やNBAで最も導入件数の多いウェアラブルテクノロジーだ。

このテクノロジーが注目を集めたのは、ジョエル・エンビードの度重なる怪我からの完全復活に大きく寄与したと言われ始めたからだ。ここ数年NBAは、日々のチーム・個々人の「練習」データも、試合中データと匹敵する程重要と考えられ、練習と試合のデータを統合的に管理、モニターすることによって、選手のパフォーマンス向上、効果的な怪我予防・リハビリに繋げている。

練習時のあらゆるデータをトラッキングする(**)キネクソンは、正にこの役割を担っていて、76ersはこの器具を導入することによって、リハビリ中のエンビードの運動量や回復具合等を日々チェック・管理し、復帰までのプロセスを慎重かつ効果的に実施。

エンビードが復帰初年度(2016-17シーズン)に厳しい出場時間制限(1試合あたり約25分しか出場していない)やレストデーの取り決め等きめ細かいルールの中でプレーしていたのも、76ersがこのキネクソンのデータ結果と照らし合わせて実施したこと。この取り組みは功を奏し、昨季エンビードは見事に完全復活。このエンビード復帰成功秘話がきっかけで、多くのNBAチームがキネクソンを導入し始めた。

ちなみに、このキネクソンは、他のトラッキング・フィットネステクノロジーや、試合の放送・配信にも組み込むことが可能で、将来的にはNBAのテレビ放送・配信でも使われ、更にリッチになった試合ライブ映像が見られる日が来るかもしれない。

*スポヲタ社が、キネクソン社の日本における独占的販売権を保有。
**NBAの試合中データ・スタッツを提供するのは、「Second Spectrum(NBA公式ビデオトラッキングプロバイダー)」というテクノロジー会社。

レブロン・ジェームズ

esports

昨季アメリカのプロスポーツで初めてesportsリーグを自前で立ち上げたNBA(正式名称「NBA 2K League」)。今季は新たに4チーム(ホークス、レイカーズ、ウルブス、ネッツ)を加え、esportsを持つNBAチームは21を数える。数年後にはGリーグ同様、全30チームがesportsチームも持つだろうと言われている。昨季前にリーグが複数年の配信権契約を結んだesportsナンバーワン配信プラットフォーム・Twitchでは、リーグの全試合がライブで配信されている。

10月初めには、不整脈からの現役復帰を目指していた元マイアミ・ヒートのクリス・ボッシュ氏が、「GEN. G esports」という世界的esports大手団体のアドバイリー(プレーヤーマネジメント)に就任したり、つい最近ではあのマイケル・ジョーダンがesoprtsのオーナーグループに共同出資することを表明したりと、最近NBA絡みのesportsネタは尽きる事がない。

更に面白い動きとしては、ヒューストン・ロケッツがパートナーシップを締結しているCBA(中国プロバスケットボールリーグ)の上海シャークスと、何とesportsの親善試合を実施。ここ数年ロケッツとシャークスはプレシーズン中に「リアル」なバスケの親善試合を実施してきたが、今年はそれをお互いの傘下にあるesportsチーム同士にも広げ、10月4日のリアルバスケに続き、同月9日に場所をバーチャルに移して実施。この試合は「Bilibili」という中国の大手映像共有・配信プラットフォーム(主にアニメ動画の配信)にて放映され、親善試合にも関わらず約90万もの視聴者を集めた。

この親善試合実施の背景は、Bilbiliが上海シャークスのオーナー企業で、Bilibiliのesportsチーム(Bilibili Gaming)がロケッツのesportsチーム(Clutch Gaming)公式esportsパートナーでもある事から開催が実現。中国の英雄ヤオ・ミン(現CBA会長)が現役時代にプレーして以来、ロケッツは中国と深い関わりを持ち続けている事で実現した今回の新しい試みだが、esportsのグローバル化・商業化拡大に伴い、今後同じような動きは他のチームで起きてもおかしくない。現役NBA選手のゲーマーの数もかなり多く、引退後は所属を傘下のesportsチームへ変えて現役続行?なんて事も、もしかしたら起きるかも!?

スポーツ界で最も積極的に最先端テクノロジーの取り組みを続けるNBA。12月頭には後編をお届けするのでお楽しみに!

DJ Kim

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