今年も遂に年に一度のお祭りの季節がやってきた。NBAという世界最高峰のバスケットボールリーグの中から、選りすぐりのメンバーが選出され、最高の演技を披露する場、それがNBAオールスターウィークエンドだ。日頃は闘争心を燃やす選手たちだが、この週末は笑顔がこぼれ、普段とは違った一面も見ることが出来る。そんなオールスターの注目ポイントを紹介しよう。

その① トッププレイヤーたちの共演

例年通り、ファン投票(50%)、現役NBA選手とメディアによる投票(各25%ずつ)により先発メンバー10選手が、そしてコーチ推薦によりリザーブ14選手が発表された。15度のオールスター選出を果たし、今季よりウェスタンカンファレンスへ移籍しているレブロン・ジェームズを筆頭に、今年もそうそうたる顔ぶれとなっている。

ファン投票で上位にランクインしたルカ・ドンチッチやデリック・ローズは惜しくも選出ならなかったものの、全体的には今季の活躍に習った選出とあって、メンバーに違和感はない。ニコラ・ヨキッチ、ベン・シモンズ等、初出場選手は5人。レブロン、ステフィン・カリー、ケビン・デュラントなど、全盛期を迎えているオールスター常連メンバーと、今後NBAの顔を担うことになるであろう若手選手との共演で、どのようなオールスターゲームが展開されるか、非常に楽しみな一戦である。

また、今回はスペシャル・ロスターアディション枠としてダーク・ノビツキーとドウェイン・ウェイドが出場することとなる。長年ファンに愛され続けた両選手は今季限りでの引退を示唆していることもあり、NBAコミッショナーのアダム・シルバーの粋な計らいにより、今回初めて増員という形で両選手の出場が決定された。特にノビツキーは初日に開催されるライジングスターチャレンジではチームWORLDの名誉監督を務め、2日目にはスリーポイントコンテストへの出場、そして最終日にはオールスターゲームが控えているのだから、大忙しな3日間になることだろう。

その② 見どころ満載のオールスターゲーム

これまでのイースタンカンファレンスvsウェスタンカンファレンス形式の対決から脱却し、昨年よりキャプテン制によるチーム分け制度が採用されている。選手からも好評のようで、引き続き今季も両カンファレンスで最多ファン投票数を得た2選手がキャプテンを務める形となった。カンファレンスは移ったものの、昨季に続きウェストはレブロンが、そしてイーストは今季MVP級の活躍を見せる怪物、ヤニス・アデトクンボがキャプテンを務める。

まずチームレブロンだが、注目はやはり最近和解を果たしたカイリー・アービングとの共演か。スタメンには平均得点でリーグを独走しているジェームズ・ハーデン、得点力で史上No.1の呼び名が高いケビン・デュラントが名を連ね、控えにはクレイ・トンプソン、デイミアン・レラードが構える布陣は、特にアウトサイドからの破壊力は異次元レベルの強さを誇るだろう。今季限りで見納めるとなるレブロンとウェイドの共演、そして、レイカーズへの移籍話は実現しなかったものの、レブロンとアンソニー・デイビスの共演も今回の楽しみのひとつである。

一方のチームヤニスだが、スタメンには現役No.1ポイントガードのカリー、No.1パワーフォワードのヤニス、そしてNo.1センターのジョエル・エンビードが名を連ねる。控えからラッセル・ウェストブルックが爆発力を加えてくれるのは間違いないが、ニコラ・ヨキッチ、クリス・ミドルトン、ニコラ・ヴュチェビッチ等、いぶし銀な活躍をする選手が多いだけに、ヤニスに自由にプレイをさせ、MVP獲得をお膳立てするようなスタイルが確立されるかもしれない。両チームともカラーの違う戦い方が見られそうな今回のオールスター。特に第4クォーターの勝利を争う白熱した戦いは非常に見物となりそうだ。

また、今回も昨年に続き、ユニフォームはジョーダンブランドが採用されている。開催地シャーロットの豊かな歴史と、前回シャーロットで開催された1991年時のスタイルをイメージし、スッキリとしたデザインに。NBAのスターロゴには蜂の巣を連想させるデザインを取り入れるなど、洗練されつつも遊び心があるデザインはファンやコレクターにとってはたまらない一着となるだろう。また、この時期はオールスター加工のバッシュなど、限定グッズが発売されるのも見逃せない楽しみの一つだ。

その③ ライジングスターズチャレンジ&サタデーナイト

オールスターゲーム当日までにも、オールスターウィークエンドはファンを高揚させてくれるイベントで充実している。米国2月15日には著名人が試合を盛り上げるセレブリティゲームが開催され、今年も元NBA有名選手のレイ・アレンやスティーブ・スミスが出場する。

そして、この日の目玉は将来のスター候補がチームUSAとチームWORLDに分かれ、白熱した試合を繰り広げるライジングスターズチャレンジだ。当たり年と言われる今年のルーキー達に、昨季新人王争いを繰り広げたベン・シモンズ、ドノバン・ミッチェル、ジェイソン・テイタム等の二年目の選手が加わるのだから、熱いバトルを繰り広げてくれるに違いない。国籍に応じてチームが分かれる形式だが、アメリカ国籍外の選手でチームを形成できるのだから、NBAがいかに国際化を図ってきたのかということが目に見える。

そして、翌日には皆様お待ちかねのサタデーナイト、つまりスキルズ・チャレンジ、スリーポイントコンテスト、そしてダンクコンテストが開催される。今年の注目は何と言ってもスリーポイントコンテストだろう。地元シャーロット出身のステフィン・カリー(1試合当たりの3P成功数リーグトップ)とセス・カリー(3P成功率リーグトップ)による兄弟対決は勿論、大ベテランのノビツキー、また、レギュラーシーズンのスリーポイント成功数で上位にランクするデイミアン・リラードやケンバ・ウォーカーなど、好シューターが揃うだけにまったく優勝予想がつかない。今シーズンのスリーポイント成功率が48%を超えるセス・カリーが兄を破り優勝を果たすか、密かに注目しているファンも多いのではないだろうか。

その④ 歴史的瞬間の宝庫

これだけのスターが集まるのだから、毎年名場面が生まれるのは勿論、時にドラマチックな展開も待ち受けている。2001年のオールスターゲームはその代表例で、史上最高のオールスターゲームとも言われている。

当時も既に西高東低と謳われ、予想通り、高さでも相手を大幅に凌ぐウェストが優勢の展開に。4クォーター残り9分時点ではその差は21点まで開いていた。しかし、その年の得点王アレン・アイバーソンとリバウンド王ディケンベ・ムトンボによるフィラデルフィア・セブンティシクサーズコンビの活躍により、猛追を見せることになる。

アイバーソンは最後のチーム得点25点中、15点を一人で稼ぎ出し、ムトンボはオールスター最多記録となる19本のディフェンシブリバウンドを奪い、チームを鼓舞。試合終盤、コービー・ブライアントの反撃にあうものの、最後は当時初選出となったステフォン・マーブリーによる値千金のスリーポイントが決まり、見事に逆転勝利を果たしたのだ。

オールスターゲームは見せ場を優先し、特に近年は終盤まで選手も”本気モード”を見せない。そのため、接戦を演じる試合は決して多いとは言えないのだが、いざトップレベルの選手が本気でぶつかり合うと、このように予想を超える展開が待ち受けていたりする。
マイケル・ジョーダンにとって最後のオールスターとなった2003年も、思わず涙がこぼれるほど劇的な試合となった。延長戦、同点で迎えたイーストは、ラストショットをジョーダンに託した。相手は最高レベルの守備力を誇るショーン・マリオン。鉄壁の守備に抜ききることが出来ないジョーダンだったが、得意のフェイダウェイシュートでマリオンを華麗にかわし、見事にゴールを射抜いた。

その後、残念ながらコービー・ブライアントの手によって勝利は阻まれたものの、ジョーダンが最後に残したプレイはオールスター史上最も印象に残るシュートとして人々の中に刻み込まれた。この試合、ウェストは一時ヤオ・ミン(229cm)、シャキール・オニール(216cm)、ティム・ダンカン(213cm)、ケビン・ガーネット(211cm※実際は213cm)という超大型ラインナップを組んだことでも有名である。

その他、HIV感染により、半ばリーグを追い出される形となったマジック・ジョンソンが、レギュラーシーズンは1試合も出場していなかったにも関わらず、ファンからは最多投票を獲得し、オールスター出場を果たした1992年なども思い出深い。この年代からNBAを追いかけていたファンにとって、当時のマジックvsジョーダンの1on1などは、今もなお鮮明に思い出される名シーンではないだろうか。

また、ダンクコンテストでは1988年のマイケル・ジョーダンとドミニク・ウィルキンスによる名勝負、そして、2016年のザック・ラビーンとアーロン・ゴードンによるダブルオーバータイムにもつれる史上最高の死闘を忘れてはならない。こちらに2000年のヴィンス・カーターを加えた布陣が、おそらくNo.1スラムダンカーに最も近い男たちであろう。

その⑤ プレイオフに向け活躍の大チャンス

プレイオフ争いが本格化する後半戦へ向けて、戦力を整えるべくラストピースを迎え入れたチーム、一方で将来に掛けることを選択したチームなど、そのカラーがはっきりしてきた状況である。このトレードデッドライン間際の動きで特に先が読めなくなったのがイースタンカンファレンスの上位チームだろう。

ヤニス率いるバックスはニコラ・ミロティッチを加え、持ち前の得点力、特にストレッチ4、5としてアウトサイドから大きくチームに貢献することが予想される。また、カワイ・レナード率いるトロント・ラプターズは一時リーグNo.1センターとも呼ばれたマーク・ガソルを加えた。

サージ・イバカ、パスカル・シアカム、そしてガソルで回すインサイド人の強さはリーグ屈指で、ディフェンス力ではリーグトップの力を有するだろう。全員スリーポイントがあることも忘れてはならない。そして、ベン・シモンズ&ジョエル・エンビードの若手コンビが牽引するシクサーズは、開幕後のジミー・バトラー獲得のみに収まらず、今回はクリッパーズのエース、トバイアス・ハリスをチームに加え、ビッグ4を形成した。この動きは全くの予想外で、クリスタプス・ポルジンギスの移籍と並び、最もファンを驚かせたトレードだったであろう。

この3チームに、カイリー率いるボストン・セルティックスを加えた4チームが東のトップ争いを演じることとなる。これまでのレギュラーシーズンの戦いぶりから、どのチームも互角な戦いを見せているだけに、先行きが全く読めない状況が続いている。これは、現在ダークホースのロサンゼルス・レイカーズを牽引するレブロンのウェストへの移籍も大きく絡んでいる。

これまでの直近4シーズン、ファイナルはゴールデンステイト・ウォーリアーズとクリーブランド・キャバリアーズの同カードによって白熱した戦いが繰り広げられてきた。リーグ最高のチームvsリーグ最高プレイヤーの構図で。しかし、今季は違う。ウォーリアーズは史上最高のチームへと更にステップアップしたが、イーストの強豪はレブロンが抜けた後、それぞれ的確な補強をしながら、王者を揺るがす存在へと成長を遂げた。ヤニスの爆発力か。優勝経験を有するレナードorカイリーか。それとも豪華なラインナップを誇る若きシクサーズか。今季最も注目すべき東の頂点争いからは目が離せないだろう。

豪華スターとの共演を果たすオールスターは、出場メンバー自身にも刺激を与え、特に若手メンバーにはステップアップする大きなチャンスともなる。この影響が両カンファレンスの後半戦にどのような影響を与えるか、非常に見物となるプレイオフ争いが我々を待ち受けている。

NBAライター ゆーきり

幼少期の10年間をアメリカで過ごす。初めて行ったNBA観戦で間近で見る選手に強い衝撃を受けNBAにどっぷりのめり込み、自身もバスケットボールを始める。ファン歴は20年を超え、これまでの自身の知識を発信しNBAファンを増やしたいという想いから、ブログ「NBA journal」を開設。現地の情報をもとに、わかりやすくもマニアックな内容を届けることを意識し、日々奮闘している。

(C)2018 NBA Entertainment/Getty Images. All Rights Reserved.