※この記事は2018年5月8日(カンファレンス・セミファイナル中)の取材を元に作成しております。

同一チームと連戦するプレーオフでは、相手チームの戦術に対して如何にアジャスト(対応)するか、ということが重要になる。果たして、NBAチームはどのようなゲームプランを練って毎試合戦っているのか…? その気になる疑問の答えを探るべく、ユタ・ジャズのアントニオ・ラングAC(アシスタントコーチ)を直撃した!!

今年のウェスタン・カンファレンスのプレーオフを5位シードで迎えたユタ・ジャズは、ファーストラウンド(1回戦)で4位シードのオクラホマシティー・サンダーを4勝2敗で下し、現在はカンファレンス・セミファイナル(2回戦)で1位シードのヒューストン・ロケッツと熱戦を繰り広げた。タレント揃いのサンダーとロケッツに対し、若手選手中心のジャズはどのような戦略で対抗したのか…。

その気になる問いに、ジャズの現役アシスタントコーチのアントニオ・ラング氏が答えてくれた。

--- プレーオフ・ファーストラウンドでは、『OK3(ラッセル・ウェストブルック、ポール・ジョージ、カーメロ・アンソニー)』という強力なトリオを擁するサンダーを相手に勝ち抜けを決めました。このファーストラウンドに、ジャズはどのような戦略で臨んだのでしょうか?

まず、(あまりディフェンスが上手くない)アンソニーとアレックス・アブリネスに対してピック&ロールを仕掛けることが、我々の攻撃のポイントだった。この2人にマッチアップした選手は、積極的に攻撃を仕掛けるように徹底した。
ディフェンスでは、トラップ・ディフェンスを使って、ジョージやウェストブルックがボールを長く保持できないように工夫した。
それから、インサイドのビッグマン(ルディ・ゴベアとデリック・フェイバーズ)の強みを活かすことも、サンダーとのシリーズでは重要な要素だった。

--- 続くカンファレンス・セミファイナルの相手は、優勝候補のロケッツになりました。アウェイで1勝をあげ、1勝1敗で迎えたホーム初戦の第3戦は、どのようなゲームプランで臨んだのでしょうか?

ハーデンとポールの得点を、可能な限り少なく抑えたかった。そこで、身長が高くて手足が長いダンテ・エクサム、身体能力の高いドノバン・ミッチェル、しつこいディフェンスが信条のハウル・ネトといった、様々なタイプの選手を彼らにマッチアップさせた。もちろん、彼らの得点を0点に抑えることは不可能だけれど、きっちりとシュートチェックをして、できるだけ苦しいシュートを打たせようと努力した。
それから、試合のペースにも気を配った。相手のペースを落とすため、我々のビッグマンには、しっかりとゴール下まで走り切ることを徹底させた。
あとは、ロケッツの最大の武器であるスリーポイントシュートへの対応だ。彼らは1試合平均約43本のスリーポイントシュートを試投しているけれど、それを30本ぐらいにまで抑えたかった。そのためには、彼らのスリーポイントシュートに対して、しっかりとシュートチェックに飛ぶことを徹底しないといけなかった。

--- 第3戦は残念ながら大敗になりましたが、第4戦に向けてチームはどのようなアジャストをしましたか?

基本的には前の試合と変わっていない。ディフェンスへの戻りを早くして、相手の得意なトランジション・ゲーム(攻守の入れ替えが激しい試合展開)をやらせないこと。ハーデンに対しては当たりの強いディフェンスをして、彼を簡単にゴール下までドライブインさせないようにし、ゴールから遠い位置でプレイさせること。右側にドリブルするのが得意なポールを、左側にドリブルするように仕向けること…。
今日の試合は第3戦よりはマシだったけれど、我々のシュートが入らなかったせいで残念ながら負けてしまった。

--- 次戦以降の抱負と、勝利のポイントは?

もちろん勝利さ。次のアウェイで1勝をあげれば、もう一度ホームに戻ることができる。第2戦もアウェイで勝ったのだから、次の第5戦でも勝てるはずさ。
ゲームプランは、これまで通り、しっかりとトランジション・ディフェンスをして、確実にシュートを決めることだ。だから、今日のように22本もレイアップシュートを外しているようでは、絶対に勝てないだろうね(笑)。
それから、ポールとハーデンのスネーク(ピック&ロールを使って変幻自在に動くこと)も、なんとかして阻止しないといけない。
あとは、チームに怪我人が無く、健康な状態で戦うことができれば、まだまだ勝機はあると思う。

--- ちょうど怪我人の話が出ましたが、負傷欠場している司令塔のリッキー・ルビオが復帰間近と聞いています。このシリーズで1度もプレイしていないルビオがラインナップに加わることで、戦況が大きく変わる可能性はあるのでしょうか?

ルビオ1人が帰ってきて、劇的に試合の流れが変わるとは思っていない。彼は直近の5試合を欠場しているのだから、試合勘を取り戻すのに苦労するだろうからね。でも彼の復帰をチームの全員が待ち望んでいるよ。

取材・文/西尾瑞穂

NBAジャーナリスト/イラストレーター 西尾瑞穂

雑誌・テレビ・インターネット等の媒体で活動するフリーランス・イラストレーター。イラストを通じてNBA選手やNBA球団と親交を深めており、NBAの現役選手に頼まれてイラストを制作する機会も多数。ファン歴25年以上という熱狂的なユタ・ジャズのファンだったが、最近ではイラスト制作をきっかけにチームと密接な繋がりを持つようになり、昨年はジャズの球団社長から直接依頼を受けてチームの公式イラストを制作した。NBAジャーナリストとして8年前からNBAの現地取材をスタートし、NBAオールスターゲームは毎年現地で取材している。

ユタ・ジャズのレジェンド、カール・マローンさんにイラストをプレゼントした際の写真

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