リーグNo.1プレイヤーを獲得した今オフ最大の勝者

ロサンゼルス・レイカーズ、おそらくNBAを知らない者でも一度は耳にしたことがあるほどプロスポーツ界で有名なチームだろう。

80年代にマジック・ジョンソンやカリーム・アブドゥル・ジャバ―を中心に繰り広げられたショータイム・レイカーズが5度の優勝を果たせば、2000年代にはコービー・ブライアント、シャキール・オニールの史上最強コンビにより3連覇を達成するなど、NBAの各時代の歴史に名を刻んだ名門チームだ。合計16回の優勝回数はボストン・セルティックスに次ぐ2位の記録である。

しかし2010年の優勝以降、絶対的エースのコービーも引退し、近年は優勝争いは愚か、強豪ひしめくウェスタンカンファレンスでプレイオフ進出すら果たせていない。毎年ドラフトで有望な選手を獲得しながらも、名門のエースのハードルは高く、ディアンジェロ・ラッセル(現ブルックリン・ネッツ)やジュリアス・ランドル(現ニューオーリンズ・ペリカンズ)など、期待値の高かった若手選手も結果的には放出する形となり、今オフまでチーム再建の中心人物を模索していた。

そんなチーム状況下、リーグ全体を震撼させる出来事となったのが、No.1プレイヤー”キング”ことレブロン・ジェームズの獲得である。3度の優勝を経験し、4度のシーズンMVPに輝き、現在8シーズン連続でチームをファイナルへ導いている男の獲得は大都市ロサンゼルスを唸らせた。それを受けてレイカーズに期待されるのは優勝以外になくなり、フロント陣も優勝を視野に入れたロスター改革を本格的に行うはずだ。

しかし、3連覇が濃厚とされる絶対王者ゴールデンステイト・ウォーリアーズをはじめ、ワイルドウェストと呼ばれるに相応しい面々が立ちはだかるだろう。昨季MVPのジェームズ・ハーデン率いるヒューストン・ロケッツ。3シーズン連続での平均トリプルダブルがかかるラッセル・ウェストブルックとキャリアハイのスタッツを残すポール・ジョージが2枚看板のオクラホマシティ・サンダー。ニコラ・ヨキッチを中心に好選手が揃い、ケガ人の復帰次第では選手層で1、2位のロスターを誇るデンバー・ナゲッツなど。

これらの強豪を差し置き、トップへと返り咲くハードルは非常に高いが、そのポテンシャルを握るのはレブロンとの共存が求められるレイカーズ期待の若手コア選手にあると言える。

レブロンに次ぐスターとなれるか!?もしくは放出か・・・

レブロン・ジェームズ

レイカーズの若手の中で将来のスター候補筆頭と称されるのが、ブランドン・イングラムだ。ポテンシャルの高さが認められ、2016年にドラフト一巡目2位指名でレイカーズへの入団を果たした。206cmという長身に加え、221cmのウィングスパンを持ち、ケビン・デュラント2世と呼ばれるスモールフォワードは、レブロンからもスコッティ・ピッペンのような万能なプレイヤーへと成長することを望まれている。

現在はシューティングガードで先発出場を果たしており、そのサイズとオフェンス力を武器に活躍しているものの、残念ながら期待値は超えておらず、レブロンとの相性も決して良いとは言えない。今後は体の線を強化し、エースストッパーとしても活躍することで、レイカーズの2番手エースの座を確立するべく、成長が急がれる原石だ。

次に2017年にドラフト2位指名で入団したロンゾ・ボールがいる。父親は元NFLの選手で、何かとお騒がせなあのラバー・ボールだ。非常にビッグマウスなことで有名で、メディアでは批判的な意見が目立つが、ロンゾは対照的に大人しい性格をしている。

長身で身体能力が高く、パスセンスに優れており、スーパースターの片鱗を覗かせる場面はあるものの、まだまだ積極性に乏しく、今季のスタッツもルーキーシーズンを下回ってしまっている。今後、ベテラン選手から勝利の方程式をみっちり教わることでポイントガードとして一回りも二回りも成長する必要があるだろう。

そんなロンゾだが、現地時間12月15日のシャーロット・ホーネッツ戦でレブロンと共にトリプルダブルを達成した。2選手が同試合でトリプルダブルを達成したのはあのマジック&ジャバーのコンビ以来だ。この好ニュースが飛び込んだことからも、ロンゾが未完の大器であることは間違いない。

この2選手はいわばチームの中心人物になるべくして上位ドラフトを受けた2人だが、実は下位指名で獲得した2選手がチーム力を大幅に底上げしている。2017年に27位指名で入団したカイル・クーズマと30位指名で入団したジョシュ・ハートだ。

クーズマは咋季のサマーリーグで大暴れし、ファイナルMVPを獲得。シーズンへ突入してもその勢いは衰えず、ドラフトでトップ3位指名を受けるべき実力者だったと評された。今シーズンもレブロンに次ぐ高スタッツを収めており、チームで一番コンスタントに活躍し、ある意味イングラムをおびやかす存在となっている。

一方のジョシュ・ハートは今季のサマーリーグでMVPを獲得。ちなみに前年のサマーリーグMVPはロンゾが獲得しているので、ここ数年、レイカーズがいかに優秀な若手を獲得しているかは一目瞭然だ。シーズンはサマーリーグとはまったくの別物だが、ハートは引き続きエネルギッシュなプレーで出場時間を獲得し、レブロンからの信頼も高まっているシューターへと成長を遂げている。

レブロンに加え、若手のコア選手が期待通りに成長をすれば、レイカーズは再びプレイオフ進出チームへと変貌できることは間違いない。但し、レイカーズが掲げる優勝という目標を達成しようとした場合、果たして現在のメンバーで十分なのかという点は、未だチーム側でも確信が持てないだろう。

現在挙げた若手4選手に関しては、レブロンをはじめ、ラジョン・ロンド、タイソン・チャンドラー等のベテランから多くを学ぶと共に、レブロンと共存するという課題を乗り越えることができれば、おそらくレイカーズの来期以降のロスターにも残ることになる。しかし、反対に見切りをつけられてしまった場合は、複数人を絡める大型トレードで他のスーパースター獲得のための駒として扱われる可能性も十分に秘めている。

来夏は多くのスター選手がFAとなる。レイカーズはケビン・デュラント、カワイ・レナード、クレイ・トンプソン、ケンバ・ウォーカー、クリス・ミドルトンあたりの獲得を目指すだろうと言われており、トレードではアンソニー・デイビスやジョン・ウォール獲得を視野に入れた交渉をする可能性がある。

レイカーズは今シーズン、スタートダッシュにこそ失敗したが、ルーク・ウォルトンヘッドコーチが、オーナーであるマジック・ジョンソンに厳しく叱咤されて以降、調子を持ち直した。クリスマスゲームには王者ウォーリアーズに快勝するなど、期待を裏切らない活躍を見せている。しかし、レブロンが鼠径部のケガで離脱して以降、チームは再び調子を落とし、本来若手にとってはアピールのチャンスとなるはずが、勝率・スタッツ共にイマイチ伸び切らない状況が続いている。フロント陣は将来を見極める重要な時期にあるだけに、若手にはもう半歩でいいので殻を破り、チームを牽引できる存在となれることをアピールしてほしいと願っていることだろう。

マジック・ジョンソンは2年以内に必ず結果を残すと豪語している。果たして1年後、レブロン・ジェームズの脇に立つのは現在の若手コア選手で、数年前のウォーリアーズやサンダーのようにドラフト選手を中心にファイナル進出を果たす集団となるか。それとも更なるスーパースターを獲得し、ロスターの大半のメンバーが入れ替わったチームとなるのか。大都市ロサンゼルスの期待と不安が入り混じった状態はもうしばらく続くかもしれない。

余談になるが、ロンゾの父親、ラバー・ボールは息子たちをイメージし、「ビッグボーラーブランド」というブランドを立ち上げている。過去、そのライセンスをナイキなどに10年総額10憶ドルでふっかけ、ナイキの幹部に「この100年で最悪の出来事が起きた」とまで言わせたほどだ。

しかも、レイカーズへ対しては、ロンゾの弟の次男リアンジェロ、三男ラメロと契約を結べば、ロンゾとの再契約は破格値でも良いという交渉をはじめているとか。ロンゾモデルのシューズが中国で大人気であることがその所以で、その稼ぎを息子たちへ託すことで生計を成り立たせ、レイカーズへ対しては金銭的な要求は抑えさせる。その代わりに3兄弟をレイカーズでプレイさせてあげてほしいという、ある意味息子思いな父親である。

レブロン・ジェームズ

しかし、残念ながらまずはロンゾが本物であることを示さなければ始まらない、現時点では身勝手極まりない条件提示となってしまっている。真剣に聞いていると眉間にしわが寄る話だが、注目度の高いビッグマーケットであるロサンゼルスだからこそ沸き上がるような話として、このような選手のプレイ以外にも注目しながらNBAを楽しむのも面白いかもしれない。

NBAライター ゆーきり

幼少期の10年間をアメリカで過ごす。初めて行ったNBA観戦で間近で見る選手に強い衝撃を受けNBAにどっぷりのめり込み、自身もバスケットボールを始める。ファン歴は20年を超え、これまでの自身の知識を発信しNBAファンを増やしたいという想いから、ブログ「NBA journal」を開設。現地の情報をもとに、わかりやすくもマニアックな内容を届けることを意識し、日々奮闘している。

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