トロント・ラプターズ初の優勝で幕を閉じた今年度のNBAファイナル、カワイ・レナードの大活躍や、ステフィン・カリーの華麗なシュート等ス―パスターによる輝かしい光景があった一方で、多くの怪我との闘いがあったのも、今ファイナルの特徴であった。
ファイナル前からウォリアーズは既にステフィン・カリー(足首捻挫、左手中指の脱臼)、デマーカス・カズンズ(大腿四頭筋断裂)、ケビン・デュラント(右ふくらはぎ損傷)、アンドレ・イグダラ(ふくらはぎ損傷)が怪我を抱えており、戦前からそれら怪我にチームとしてどう対処するのかといった点が注目されていた。

ただ、ファイナルが始まると事態は更に最悪の方向に向かってしまった。ケボン・ルーニーの鎖骨骨折で始まり、ケビン・デュラントのアキレス腱断裂、更にはクレイ・トンプソンの前十字靭帯断裂と、重度な怪我が連続して発生してしまった。
中でも、現在地球上で5本の指に入るスーパースターであるケビン・デュラントは、過去に完全復活を遂げた選手が少ないアキレス腱断裂という大怪我を第5戦試合途中に負ったということで、今後について全米中が注目している。

アキレス腱断裂というケガは、NBAにおいては、前十字靭帯断裂と並んで有名な「超大怪我」とされており、復活するまで通常約1年を要するというのが通説である。
今回は過去にアキレス腱断裂を負った選手達がその後どのような成績となったのか見ていき、今後デュラントがどのようになり得るか、予測していきたいと思う。

1. 過去10年でアキレス腱断裂を負った有名選手

1) エルトン・ブランド(2007年) 怪我時の年齢:28歳

レブロン・ジェームズ

2) メメット・オカ―(2010年)怪我時の年齢:30歳

レブロン・ジェームズ

3) チャンシー・ビラップス(2012年)怪我時の年齢:35歳

レブロン・ジェームズ

4) コビー・ブライアント(2013年)怪我時の年齢:34歳

レブロン・ジェームズ

5) ブランドン・ジェニングス(2015年)怪我時の年齢:25歳

レブロン・ジェームズ

6) ウェスリー・マシューズ(2015年)怪我時の年齢:28歳

レブロン・ジェームズ

7) ルディー・ゲイ(2016年)怪我時の年齢:30歳

レブロン・ジェームズ

2. 上記事例の考察

医療技術の進捗により、以前と比して確実に怪我に対する対処、治療が良くなっているのは間違いないが、アキレス腱断裂となると話が違うようだ。
過去15年という期間で見ると、NBA選手の内20名ほどがその怪我を負っているとのデータがあるが、上記主要事例を見てもわかる通り、そのいずれも怪我前の状態には戻れていないというのが現状である。

2017-18年シーズンにアキレス腱を断裂し、今年デュラントと同じチームでプレーしていたデマーカス・カズンズもその一人であり、将来的にどの程度まで復活するか未だわからない。しかし今ファイナルでもそうであったように怪我前にあった足の力強さや跳躍力が劇的に落ちているようだ。

また、デュラント程の大物ではないが、オールスター選手としてのピークにこの怪我を負ったエルトン・ブランドやメメット・オカ―も、怪我後の成績が上がらず結果的に早めの引退を余儀なくされてしまった。スター選手と言えるルディー・ゲイ(現サンアントニオ・スパーズ)も同じであり、過去は自慢の身体能力を活かしたプレーを得意としていたが、怪我後はロールプレイヤーに落ち着いてしまっている。

更に、あの不屈の精神で一時代を築いたコービー・ブライアントも、34歳の時に負ったアキレス腱断裂以降、往年の活躍をできなくなってしまった。コービーは怪我から復帰後平均得点が下がったのみならず、その身体能力の低下からシュート成功率も大幅に落ちてしまい、過去の絶対的な能力が失われてしまったのだ。

3. アキレス腱断裂から復活した選手はいないのか?

上記事例を見ると、まず如何にアキレス腱断裂という怪我が重大なものであり、NBA選手にとって恐ろしいものかわかっていただけたかと思う。

ただ、過去にこの怪我を負ったものの順調に回復した選手がいなかったわけではない。それは80年代と90年代に活躍し、マイケル・ジョーダンと何度もダンクコンテストで競い合ったヒューマンハイライトフィルム事ドミニク・ウィルキンスである。

彼は、32歳であった1992年にアキレス腱断裂という大けがを負ったものの、その10か月後に復活し、復帰戦で30点を上げたのみならず、シーズン通して平均29.9得点を記録。更には生涯最高のシューティング・エフィシャンシーをも記録し、28歳のシーズン以降で最高のシーズンを送る事ができたのだ。また怪我後にオールスターに2度も選出されている。

4. 今後デュラントはどうなるのか?

過去事例を分析すると、アキレス腱断裂は復活困難なものだということが分かる。ただ、ドミニク・ウィルキンスのようにデュラントよりも高齢でその怪我を負ったものの、見事に復活した事例があるのも無視できない。

また、過去10年間でアキレス腱断裂を負った各選手たちのリストにも、デュラント程の大物で、且つ選手生命のピークにあった者はいない。そのため、今回のデュラントの怪我は、ある意味前例がない事例ともいえる。

筆者個人としては、元々デュラントは身体能力を前面に押し出してプレーするタイプでなく、その長さとシュート力を生かしたプレーに定評があるタイプの選手である。そのためドリブルによるドライブを減らし、今よりポストアップと、スポットアップの割合を増やす事で違った形ながらもスーパースターの座に返り咲いているデュラントの姿を予想している。

なお、復帰後どの程度のプレーレベルとなるかも気になる所だが、もう一つ目を離せないのが、デュラントの移籍先がブルックリン・ネッツであるということだ。デュラントに加えてなんとカイリー・アービングも獲得している。ネッツはMIP(Most Improved Player)候補であったディアンジェロ・ラッセルを放出し、新たなチーム作りを目論んでいる。デュラントの復帰はおそらく来シーズン終盤、もしくは2年後のシーズンと想定されるが、彼ら2人のタッグを早く見たいと願うファンは多いことだろう。

シーズンオフとなった今も、NBAから目が離せない!

家徳” Yutaka" 悠介

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