日本時間4月17日(現地16日)午前8時、キャピタル・ワン・アリーナでワシントン・ウィザーズとニューオーリンズ・ペリカンズが対戦する。同じ2019年のドラフトでプロに転向した八村塁(ウィザーズ)とザイオン・ウィリアムソン(ペリカンズ)のマッチアップに期待が懸かるこの一戦をプレビューする。
スタッツこそ1年目の昨季とほぼ変わらない八村だが、今季はシュート精度が高まるなどプレイの質が向上している。とりわけオールスター休暇後の18試合では、平均15.8得点、6.4リバウンド、FG成功率49.6%、3ポイント成功率35.7%を記録。エースのブラッドリー・ビールが怪我で欠場した5試合ではその穴を埋めるべく貪欲に得点を狙い、平均20.2得点とオールスター級の数字を残した。 好調の要因の一つは、“先輩”と呼ぶ司令塔ラッセル・ウェストブルックとのケミストリー向上にある。シーズン前半戦はウェストブルックからのパスは平均7.7本、アシストは1.3本だったが、後半戦はそれぞれ11.7本、2.6本と増加。ウェストブルックと並走してファストブレイクを仕掛けるシーンも散見されるなど、イージーバスケットが増えたことで試合の流れに上手く乗ることができている。 また、守備でも持ち前の万能性を発揮中だ。強靭なフィジカルと機動力を兼備する八村は、ポイントガードからセンターまで対応できる稀有な存在として、スコット・ブルックスHC(ヘッドコーチ)からの評価も高い。これまでにもレブロン・ジェームズ(ロサンゼルス・レイカーズ)やヤニス・アデトクンボ(ミルウォーキー・バックス)と対峙してきただけに、ペリカンズ戦ではウィリアムソンのストッパーとして期待が懸かる。
とはいえ、怪物と称されるウィリアムソンを止めるのは容易ではない。身長200.7cm、体重128.8kgという強靭なフィジカルと類い稀なアスレティック能力を兼備するウィリアムソンは、今季ここまで平均26.8得点(リーグ8位)、7.2リバウンド、3.7アシスト、FG成功率61.8%を記録。2年目にしてオールスターに選出されるなど、リーグ屈指のスーパースターへと成長している。 シュートの95%がペイントエリア内で、圧倒的なパワーとスピードによってディフェンスを粉砕。ショットクロックが導入された1954-55シーズン以降では最長タイとなる、25試合連続で20得点以上&FG成功率50%以上を達成するなど、来ると分かっていても止められないアンストッパブルな存在だ。 最近では高いボールハンドリング能力と視野の広さを活かし、ポイントフォワードとしてプレイする場面も散見される。自身のペネトレイトをきっかけに味方のシュートチャンスをクリエイトし、直近5戦では5.8アシストをマーク。4月10日(現地9日)に行われたフィラデルフィア・76ers戦では、35得点、15リバウンド、8アシスト以上の最年少記録を塗り替えた。 その試合後、ウィリアムソンはゲームメイクを担うことについて、「僕は4歳の頃からバスケットボールをしている。まだ勉強中だけど、ごく自然だよ」と言及。スタン・バン・ガンディHCも「すべてのプレイをこなす能力を持っていた。ただただ素晴らしかった。もっとチャンスを与えたい」と底知れない潜在能力を誇る20歳に期待を寄せている。
ウィザーズは直近5試合で4勝と好調で、プレイイン・トーナメント出場権獲得のためにも勢いを継続させたいところだ。その上で鍵となるのは、いかにウィリアムソンを止めるか。その役目は、ウィリアムソンのフィジカルとスピードに唯一対応可能な八村に託されることが予想される。 ペリカンズはウィリアムソンが5アシスト以上記録した試合で、今季12勝7敗と勝ち越している。それだけに、ウィザーズは八村が、ウィリアムソンのドライブをどこまで封じられるかが勝負の分かれ目となる。 また、八村はオフェンス面でも積極的な姿勢を見せたい。『Cleaning The Glass』によれば、ウィリアムソンがコートにいるときは不在時に比べ、ペリカンズの100ポゼッション当たりの失点が2.4増加。八村は右肩の張りから復帰した直近5試合ではシュートタッチが振るわず平均10.6得点にとどまっていたが、守備を苦手にするウィリアムソンに対してしっかりとオフェンスでもプレッシャーを与えたい。
ニューオーリンズ・ペリカンズ対ワシントン・ウィザーズ 試合情報 ■日時:2021年4月17日(土)午前8時 ■会場:キャピタル・ワン・アリーナ ■通算対戦戦績:ペリカンズ17勝・ウィザーズ21勝 ■今季成績:ペリカンズ25勝30敗(ウェスト11位)、ウィザーズ21勝33敗(イースト12位) ■日本語実況:三橋泰介、解説:塚本清彦