日本時間6月12日(木)午前9時30分から、オクラホマシティ・サンダーとインディアナ・ペイサーズによるNBAファイナル第3戦が行われる。シリーズはここまで1勝1敗のイーブン。戦いの舞台がペイサーズの本拠地、ゲインブリッジ・フィールドハウスに変わる第3戦に勝利し、一歩抜け出すのはどちらのチームか。
タイリース・ハリバートンとアンドリュー・ネムハードのハンドラー2人を起点に、今プレイオフ最多の総アシスト数を記録しているペイサーズ。その対抗策としてサンダーは、シリーズ初戦でビッグマンのアイザイア・ハーテンシュタインに代えて2年目ガードのケイソン・ウォレスを先発に抜擢する。ボールを動かすペイサーズオフェンスに機動力で対抗し、試合を通じて24ターンオーバーを誘発するなど、試合を優位に進めていた。 しかし、今プレイオフで驚異的な粘りを何度も披露してきたペイサーズが、第4クォーターで再び魅せる。15点差がついた残り9分42秒から6本の3ポイントを決めるなど猛追。1点差で迎えたラストポゼッションでは、ハリバートンが逆転のロングジャンパーをねじ込む神がかり的な勝負強さを発揮し、敵地で大きな勝利を掴んだ。
今季、試合残り2分を切った場面での同点もしくは逆転のショットを15本中12本成功させているハリバートン
ホームでの連敗は避けたいサンダーは、ベンチメンバーが第2戦で流れを作る。チームで唯一優勝経験のあるアレックス・カルーソ(20点)、レギュラーシーズンに平均12点を記録した4年目のアーロン・ウィギンズ(18点)を含め、この試合では5選手が15点以上を記録。NBAファイナルでは2019年のトロント・ラプターズ以来の記録となる全員バスケで、シリーズをイーブンに戻した。負けた次の試合はレギュラーシーズンとプレイオフ合わせて18勝2敗と、連敗をしない強さを見せつけた。
カルーソを筆頭にセカンドユニットが攻守で仕事を果たし、第2戦の勝利に大きく貢献
迎える第3戦のポイントは、両チームのNo.2の活躍だ。サンダーのジェイレン・ウィリアムズ(以下Jal・ウィリアムズ)と、ペイサーズのパスカル・シアカムはともにファイナルでは本来の力を出し切れていない。 Jal・ウィリアムズは1回戦からカンファレンス決勝までは平均20.4点、FG成功率45.7%を記録していたが、ファイナルでは平均18.0点、FG(フィールドゴール)成功率は33.3%、3ポイント成功率22.2%と低調な数字が並んでいる。 エースのシェイ・ギルジャス・アレクサンダー(以下SGA)は、ファイナルデビューから最初の2試合における歴代最多得点記録(合計72点)を更新するなど好調で、第3戦以降はさらに厳しいマークにあうことが予想される。SGAの負担を減らす、あるいはマークを分散させる意味でもJal・ウィリアムズにかかる期待は大きい。
20点以上を挙げた試合は7勝1敗と高い勝率をマークしているだけに、Jal・ウィリアムズの活躍は勝敗を分ける要素となる
一方でペイサーズのシアカムはイースト決勝MVPに輝くなど、カンファレンス決勝まではチームトップの平均21.1点、FG成功率53.7%と、エースのハリバートンをも凌ぐ活躍でチームを牽引してきた。しかしファイナルでは、第1戦で19点・10リバウンドも、出場時間帯での得失点は−10と先発選手で唯一のマイナス。第2戦でもチームで2番目に悪い−15と思うようなプレイができていない。 今プレイオフ、8試合以上出場した選手の中ではファストブレイクポイント(3.6点)がリーグ2位なのだが、ファイナルでは平均1.0点、敗れた第2戦に至っては0点。レギュラーシーズンで最もファストブレイクポイントを与えなかったサンダーの戻りの速さに苦しんでいるが、ペイサーズが流れを掴むためには、シアカムが先頭を走る展開を増やすことが必要になるだろう。
シアカムは「今年最も重要な試合。戦う準備はできている」と大一番に向け気合十分
ファイナル史上、1勝1敗で迎えた第3戦に勝利したチームの優勝確率は約80%(33勝8敗)と、数字上では大きなアドバンテージを得ることができる。シリーズの行方を左右する重要な第3戦から目を離せない。