各チーム残り10戦を切ってきたNBAのレギュラーシーズン。上位シード獲得へ負けられない戦いが続いている八村塁擁するロサンゼルス・レイカーズは、現在44勝29敗でウェスタン・カンファレンス4位に位置している。（戦績、スタッツは全て日本時間3月29日時点） そのレイカーズと全く同じ勝率で並び同5位につけるのが、河村勇輝の所属するメンフィス・グリズリーズだ。4位と5位ではプレイオフ1回戦でのホームコートアドバンテージの点で大きく優位性が変わるだけに（4戦先勝のシリーズで4位チームは合計4試合をホームで戦う）、日本時間3月30日に行われるレイカーズとグリズリーズの直接対決は両チームにとって重要な一戦となる。
2月2日に実現したNBA史上最大級の大型トレードで、ルカ・ドンチッチを獲得したレイカーズ。ドンチッチ加入後8連勝を記録するなど好調だったが、2月28日のミネソタ・ティンバーウルブズ戦で八村が左ひざを負傷して退場（その後12試合欠場）すると、その翌日にはオースティン・リーブスが右ふくらはぎを痛め退場（その後2試合欠場）。さらに3月9日にはレブロン・ジェームズが左鼠蹊部の捻挫により負傷退場（その後7試合欠場）するなど、主力に故障が相次ぐ不運に見舞われ勢いが収束。連敗と連勝を交互に繰り返すなど、なかなか安定しない戦いが続いている。
それでもドンチッチは、3月にリーグ4位の平均30.9点を挙げるなど好調をキープ。リーブスも平均23.6点とエース級のスタッツを残し、チームを牽引している。3月23日にジェームズと八村が戦列に復帰し、久しぶりにフルメンバーが揃った。まだまだ各選手がコンディション不安を抱えているだけに結果は思わしくないが、ここからラストスパートをかけていきたいところだ。
プレイオフを見据え戦列に戻ってきたジェームズだが、復帰後チームは1勝3敗と足踏み
その中でチームのさらなる上昇の鍵を握っているのが、NBA6シーズン目が佳境に差し掛かっている八村塁だ。今季、キャリア最多の平均31.6分の出場時間を獲得するなど、JJ・レディックHC（ヘッドコーチ）から厚い信頼を得ており、3ポイント成功率がリーグ22位の41.4%とチームのNo.1シューターの役割を担っている。なお、ドンチッチ加入で、その重要度はさらに高まっていると言えるだろう。 レイカーズはドンチッチ加入前の3ポイント試頭数が１試合平均33.8本とリーグ27位だったが、加入後は平均40.7本でリーグ8位と大幅に増加。ドンチッチ自身の試投数が多いこともあるが、リーグ有数のコートビジョンから多くの3ポイントチャンスが生み出されているのは間違いない。八村にとってもその恩恵は大きく、27日に行われたペイサーズ戦では4本決めた3ポイントの内2本がドンチッチからのアシスト、その他の1本もドンチッチを起点としたプレイから生まれたものだった。
新天地でも巧みなプレイメイクで味方に多くのシュートチャンスを提供するドンチッチ
ちなみに八村のレイカーズでの通算3ポイント成功率は40.15%。これは100本以上成功している選手の中では歴代1位と、伝統あるチームにおいて燦然と輝く数字を残している。直近の28日に行われたシカゴ・ブルズ戦では「塁の痛みが基準より大きかった」という理由で欠場しただけに、左ひざの状態は気になるところだが、ぜひチームを勝利に導く元気な姿を見せてもらいたい。 対するグリズリーズもエースのジャ・モラントが左ハムストリングの負傷で直近6戦を欠場中。その間チームは2勝4敗と苦戦が続いている。さらにプレイオフ直前のこのタイミングで、今季含め6シーズンにわたりチームを率いてきたテイラー・ジェンキンスHCの解雇を発表。それぞれ落ち着くことの出来ない状況にある両チームだが、シーズン最終盤で抜け出すのは果たしてどちらか。 そして気になる日本人競演の行方だが、グリズリーズの河村は同日Gリーグのメンフィス・ハッスルが今季最終戦を控えており、そちらでのプレイが濃厚だ。それでもダブルヘッダーでのベンチ入りも可能性としては残されているだけに、今季最後の日本人競演にも期待したいところだ。