リーグ全体で3ポイントへの傾倒が強まるなか、そうした流れに逆行している選手がいる。ミルウォーキー・バックスのヤニス・アデトクンボだ。今季は3ポイント試投数を減らし、自身の強みであるインサイドへのアタックとミッドレンジからのジャンパーを多用しているのだ。その理由として、自身のキャリアが長くなると考えているようだ。『ESPN』のジャマール・コリアー記者とのインタビューで明かした。 とりわけ「練習を積んできた」というミッドレンジジャンパーについて、相手からさほどタイトにチェックされないという。だからこそ決めなければならないという覚悟を持って放っている。 「夏の間ずっと練習してきた。僕の考えだとプレイオフで必要になってくるシュートだ。決められると信じているシュートでもある。自分も30代になった。まだ4~6年は良いバスケットボールができると信じているけど、もっと賢くやらないといけないから」 『NBC Sports』のカート・ヘリン記者は、実際にアデトクンボのシュートが昨季までと比較してどのような変化を見せているかをまとめている。今季の3ポイントは全フィールドゴールのわずか4%にすぎず、1試合平均の試投数も0.8と1本未満。なお昨季は9%、MVPを受賞した2019-20シーズンは23.7%だった。 そしてミッドレンジジャンパーは、今季の全フィールドゴールのうち21.2%を占め、成功率は41.7%を記録。昨季の割合は15.6%、2019-20シーズンは9.4%でしかなかったことから、今季ミッドレンジジャンパーのウェイトが高まっていることが分かる。 ミッドレンジジャンパーの脅威が増すことで相手をゴール下から引き出し、結果インサイドへのアタックもさらに効率的になる。アンストッパブルな選手の1人として長年リーグに君臨しているアデトクンボだが、30歳のスターが迎える選手としてのピークは、まだ先にあるのかもしれない。