6月12日、選手、コーチ、フロントと様々なポジションでNBAに携わり、バスケットボール殿堂入りも果たしているジェリー・ウェストが86歳で亡くなった。第一報は2017年からウェストがコンサルタントを担当していたロサンゼルス・クリッパーズが報じた。 ウェストは1960年のドラフト全体2位でロサンゼルス・レイカーズに指名されNBA入り。現役当時、史上3人目となる通算2万5000点をクリアし、1974年の現役引退まで毎年NBAオールスターに選出された。NBAファイナルには9度出場し、1969年にはボストン・セルティックスに敗れたものの、この年新設されたファイナルMVPに輝いている。なお、敗戦チームで受賞したのはウェストしかいない。 引退後はコーチやジェネラルマネージャーなどとして活躍。カリーム・アブドゥル・ジャバー、マジック・ジョンソン、ジェームズ・ウォージーを擁して、1980年代にレイカーズの黄金時代を築くと、シャキール・オニール、コービー・ブライアントを獲得して2000年から3連覇を達成したチームの礎も築いた。さらにその後はゴールデンステイト・ウォリアーズでステフィン・カリー、クレイ・トンプソン、ケビン・デュラント、そして直近まで携わっていたクリッパーズでカワイ・レナード、ポール・ジョージと、時代を超えて多くのスーパースターと関わり、成功を収めてきた。 ウェストを「バスケットボールの天才」と評したアダム・シルバー・コミッショナーは、「私はジェリーとの友情を大切にし、バスケットボールと人生について彼が長年にわたって教えてくれた知識を大切にしていた。NBAを代表して、ジェリーの妻カレン、彼の家族、そしてNBAコミュニティの多くの友人たちに深い哀悼の意を表する」とコメントを発表している。 そうしたレジェンドと称するに相応しい人物の訃報に、多くの関係者が哀悼の意を示した。レイカーズは「ジェリー・ウェストは永遠にバスケットボールのアイコンだ。彼は1972年にレイカーズファンにロサンゼルスでの初優勝をもたらし、在籍中にさらに6つのタイトルを獲得した。ジェリー・ウェストはいつまでもレイカーズのレジェンドである」とコメント。クリッパーズのオーナーであるスティーブ・バルマーも、「7年前、ジェリーに初めて会った日から、彼はその知性、誠実さ、熱意で私を奮い立たせた。彼は決して立ち止まることはなかった。私は彼と多くの時間を過ごし、人生で最高の時を過ごした」と、ウェストの在りし日を振り返っている。 さらにウォリアーズのオーナーであるジョー・レイコブも、「ジェリーは我々のフランチャイズに計り知れない影響を与え、ここ10年の成功に貢献してくれた」と、チームの成功はウェストのおかげと感謝した。 そのほか、マイケル・ジョーダンは「友人であり、指導者であり、兄のような存在」と感じていたウェストに対して、「彼と対戦できればといつも思っていたが、彼を知れば知るほど、彼のチームメイトになれたらと思うようになった。彼のバスケットボールに対する洞察力に感服し、ゲームへの取り組み方にも多くの共通点があった」と、時代は異なるものの同じポジションでリーグを支配した選手同士としての思いを明かした。 さらにレブロン・ジェームズ、ジュリアス・アービング、マジック・ジョンソンなど、多くの人物がそれぞれのSNSでウェストを追悼している。